NHKのBSプレミアムで毎週日曜日の午後9時から放送されている『花郎(ファラン) 希望の勇者たち』は、とても面白い時代劇だ。主演のパク・ソジュンやパク・ヒョンシクの演技も魅力的であり、これからの展開に大いに期待できる。
そんな『花郎』だが、舞台となっているのは古代の新羅(シルラ)時代だ。最近の韓国の時代劇は朝鮮王朝を舞台にした作品がとても多く、古代がドラマの設定になっている例は本当に少ない。そこで、改めて新羅がどんな国であったのかを説明していこう。
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新羅は建国が紀元前57年になっているが、建国当初から数百年の歴史は神話に彩られた部分が多く、歴史的に検証されているわけではない。そういう事情があり、歴史的に信憑性を増していくのは3世紀以降のことだ。
その頃から7世紀まで朝鮮半島は三国が激しく領土争いをした。それによって「三国時代」と呼ばれるのだが、新羅と覇を競ったのは、朝鮮半島の北部を領土にした高句麗(コグリョ)と、西南部を支配した百済(ペクチェ)であった。
特に、高句麗は騎馬民族をベースにして武力が最も強く、百済は領土が肥沃であったために農作物に恵まれていた。その一方で、朝鮮半島の東南部を領土にした新羅は、高句麗や百済に比べて劣勢だった。それは、支配地域が山間部ばかりで、農業の収穫があまり期待できなかったからである。
そういう弱さを自覚していた新羅は、若者たちの教育に大変熱心になり、人材育成で国を強くしようと試みた。そうした育成組織が「花郎」であり、「花郎」を通して若者たちを文武両道で鍛え上げたことが、新羅の発展につながった。
実際、ドラマ『花郎』の時代設定は6世紀になっているが、この頃から「花郎」が活性化されるようになった。7世紀になると善徳女王といった有名な女王も登場して国が大いに栄え、やがては百済と高句麗を滅ぼして新羅が三国時代の勝者になっていくのである。
それだけに、『花郎』を見ていると、徐々に強国になっていく新羅の息吹を感じることができるだろう。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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