1392年から518年間も続いた朝鮮王朝。本当に長寿な王朝だった。今の韓国時代劇は、ほとんどが朝鮮王朝を舞台にしているので、この王朝を知らないとドラマの背景がわからなくなってしまう。そこで、朝鮮王朝の大きな特徴を5つにまとめてみよう。
最初の特徴は、国王を頂点とする中央集権国家だったことである。
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国王は世襲によって王位を受け継ぎ、絶対的な権力を行使した。あまりに権限が国王に集まってしまったので、王位継承の騒動がよく起こったが、それでも王朝の致命傷にはならずに、代々の国王によって権力は維持されていった。なんといっても、中央集権体制が盤石だったことが大きいと言える。
次の特徴は、仏教を迫害して儒教を崇拝したということだ。
朝鮮王朝が滅ぼした高麗王朝は仏教が国教であって、優遇された僧侶が政治に介入して国が傾いてしまった。その教訓を生かし、朝鮮王朝は仏教を迫害して儒教を国教に定めた。こうして、儒教の思想を取り入れた政治が行なわれ、国王から庶民に至るまで儒教的価値観に基づく生活を送るようになった。
この儒教の影響は今の韓国にも色濃く残っている。
3つ目の特徴は、身分制度があまりに厳しいということだった。
なにしろ、朝鮮王朝では生まれながらにして身分が決められていて、人々は身分に応じて生活を営んだ。たとえば、身分を上位からみると、王族、両班(ヤンバン/特権階級や上級役人)、中人(チュンイン/専門職を持った人や下級役人など)、常民(サンミン/一般的な庶民)、賤民(チョンミン/最下層の人)となっていた。
4つ目の特徴は男尊女卑が顕著だったということだ。女性は男性より下位に置かれ、官僚になれなかったり、学習する機会を持てなかったりした。普通の女性にとっては抑圧されることが多く、辛いことも多かった。
最後の特徴は、官僚登用試験として科挙が大事にされたことだ。
この科挙に受かると、官僚として出世して国の政治を仕切ることができるようになった。まさに、科挙は国のエリートを選抜する制度だったのだ。
この科挙を女性は受けることができなかった。そういう意味では、科挙は身分制度の象徴であったかもしれない。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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