韓国の古代を描いた時代劇は壮大な物語のスペクタル巨編が多いが、チェ・スジョンが主役を演じた『大祚栄(テジョヨン)』も、スケールが大きいドラマだった。
このドラマで描かれた大祚栄は、朝鮮半島の英雄の中でも極め付きの大人物だった。その生涯はどんな話なのだろうか。
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歴史的に見ると、668年に高句麗(コグリョ)は中国の唐によって滅亡させられた。それでも、領地に住んでいた人たちの中に新天地をめざした者もいた。その1人が大祚栄(テジョヨン)だった。
彼は抜群の指導力で力をつけてから、唐に反旗を翻した。そして、唐の大軍を破ってから新しい国を興した。それが「震(チン)」という国であり、大祚栄は高王(コワン)として即位した。彼は、震を高句麗の後継国だと宣言した。
大祚栄は異民族と協調して国を広げ、新羅(シルラ)を圧迫するほど強大になっていった。
こうなると、唐も大祚栄を無視できない。和睦を狙い、唐は705年に大祚栄に使者を送った。
大祚栄は使者を歓待し、和睦が成立した。こうして713年に唐は大祚栄を「渤海郡の王」と認定した。そこで、大祚栄は国号を「渤海(パレ)」に変えて、さらに発展を誓った。
それから6年後に大祚栄は世を去った。
「渤海の歴代王は絶対に高句麗の魂を忘れるな」
それが大祚栄の遺言だった。彼の最大の功績は、高句麗の多くの土地を取り戻したことである。本当に大祚栄は偉大な国王だった。
後を継いだのは彼の息子であり、2代王の武王(ムワン)とった。
この男も凄かった。交易をとても盛んにしていき、渤海の領土をもっと広げた。
渤海の最盛期は9世紀になってからだ。新羅よりずっと大きい領土を誇り、“海東の盛国”と称された。それほど繁栄したのである。
しかし、これほどの大国も、やがて終わりを迎える。10世紀には異民族の侵攻を受けて国力が急速に衰え、ついに926年に滅亡してしまった。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
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