パク・ボゴムとキム・ユジョンが共演して大ヒットした韓国時代劇『雲が描いた月明り』。このドラマには内侍府(ネシブ)というのが登場するが、それは一体何なのだろうか。
朝鮮王朝を舞台にした韓国時代劇には、王宮で勤務する様々な官僚や女官が登場するが、その中でも特に出番が多いのが内侍府の内官(ネグァン)たちである。なぜなら、彼らはピッタリと王族に密着していたからだ。
『雲が描いた月明り』では、ヒロインのキム・ユジョンが内侍府の内官を演じていた。この内侍府というのは、宮中にある官庁の一つだ。
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その役割については経国大典(朝鮮王朝の基本法典)に次のように書いてある。
「内侍府は大内(王族が居住するところ)の食事を管理して、王命を伝達し、門戸を宿直して、掃除をする。そうした任務を引き受けている」
要するに、「王族が食べる食事をすべて管理して、秘書役として王族にピッタリ付いてその命令を拝命して各部署に伝え、門番をして王宮を守り、さらに王宮を清潔に保つために掃除を行なう」ということだ。
とにかく、仕事の量が多かった。そうした激務を現場でこなしたのが内官(内侍〔ネシ〕とも呼ぶ)であった。
『雲が描いた月明り』では、暇そうにしていた内官が何人もいたが、実際に内侍府は王宮で一番仕事が多かった官庁だった。
内侍府の内官は原則的に宦官(かんがん)だった。
宦官は去勢された男子である。
朝鮮半島では中国の王朝にならって古代の新羅から王宮内で宦官が重宝されており、特に高麗王朝ではその数が多かった。
さらに、朝鮮王朝もその制度を受け継いだ。
去勢されているので女性の周辺にも安心して配置することができた。
とはいえ、中にはその立場を利用して政治に介入したり私腹を肥やしたりする宦官もいた。あまりに王族に近づきすぎていたので、欲望しだいでは権力を手中にすることもできたのである。
なお、韓国時代劇には様々な官僚たちが出てくるが、それぞれに立派な髭をたくわえている。しかし、まったく髭を生やしていない男性もいる。
彼らが内侍府の人間だ。
つまり、髭の有無で内侍府の人間を特定できるのである。
『雲が描いた月明り』でのパク・ソジュンとキム・ユジョンの演技は本当に見事だった。王宮の中で内侍府が一番仕事が多かったということで、作中のキム・ユジョンを忙しそうにしているように感じられた。
構成=大地 康
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