韓ドラ時代劇の巨匠イ・ビョンフン監督の代表作でもある『トンイ』。賎民出身でありながら、朝鮮王朝19代・粛宗(スクジョン)の側室となった淑嬪崔氏(スクビン・チェシ)の波瀾万丈な人生を描いた大作だ。
日本でも何度も放送され、先週からはテレビ東京の韓流プレミアで放映がスタートしたが、その始まりをおさらいするとこうなる。
とある湖畔で大司憲のチャン・イクホン(イ・ジェヨン)が殺害された遺体が発見される。
この事件に対して、捕盗庁の従事官ソ・ヨンギ(チョン・ジニョン扮)は、今回の殺人も賎民らの地下組織の首領チェ・ヒョウォン(チョン・ホジン)が率いる剣契(コムゲ)の仕業だと断定する。
しかし、この殺人事件は実は宮中内で党派争いを繰り広げる西人派(ソインパ)と南人派(ナミンパ)のいざこざで、南人派の中枢オ・テソク(チョン・ドンファン)による陰謀だった……。
こんな感じになるが、ドラマに登場する「剣契(コムゲ)」は実在した組織なのだろうか。
答えはイエスだ。というのも、朝鮮王朝時代にはさまざまな目的を持った“契”が登場している。
朝鮮王朝時代には志を共有する者たちは「同志契(トンジゲ)」、親しい友人の間では「同甲契(トンガプゲ)」、同門の間では「書堂契(サダンゲ)」や「学契(ハクゲ)」が結ばれた。
もともと“契(ゲ)”という言葉に意味があり、その目的に応じて成員の数、成員の属性、事業規模、運営方法などに違いがあり、その名称もさまざまだったのだ。
ただ、「剣契(コムゲ)」は、腕に自信のある剣客たちの契ではなく、無法者たちの契だったと言われている。
また、「殺主契(サルチュゲ)」というものもあり、これは奴婢たちが結んでいた組織。卑しい身分にさらされ、迫害と過酷な労働を強いられていた奴婢たちが、連帯意識をもって復讐のために結んだ秘密結社があったとされている。
構成=韓ドラ時代劇.com編集部
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