キム・スヒョンとハン・ガインが主演した『太陽を抱く月』は史実に基づく歴史作品ではなく、架空の韓ドラ時代劇だが、朝鮮王朝時代を舞台にしている以上、モデルとなった時代をある程度推測することは可能だ。
『太陽を抱く月』に出てくる歴史キーワードを紐解いていくと、モデルとなった時代は、朝鮮王朝前期ではないかという仮説を立てることができる。
まず、『太陽を抱く月』の重要なキーワードである「星宿庁(ソンスチョン)」。これは、王室の安寧を祈る巫女たちが所属する官庁として高麗時代からあった。
しかし儒教を信奉する朝鮮王朝において、「星宿庁」はその存在を否定され続け、第11代王・中宗(チュンジョン)の時代には、完全に廃止となっている。
次に注目したいのは「康寧殿(カンニョンジョン)」。これもまた朝鮮王朝時代に実在した建築物だ。1395年に建築された景福宮(キョンボックン)の中で、『太陽を抱く月』での役割と同じく、王の寝室としての役割を果たしていた。
しかし、景福宮は1592年に勃発した豊臣秀吉の朝鮮出兵「壬辰倭乱(イムジンウェラン)」の際に焼失し、その再建がされたのは、第26代王・高宗(コジョン)の時代になってから。
そう考えると、必然的に初代王・李成桂(イ・ソンゲ)から第15代王・宣祖(ソンジョ)までのいずれかの王という推測ができるだろう。
さらに作中では、ユン氏が所属する「勲旧派(フングパ)」と、ヨヌの父が所属する「士林派(サリムパ)」との激しい党争が描かれている。これについて詳しく説明すると…。