韓ドラになった歴史人/『トンイ』シム・ウンテクのモデルとなった金春沢の生涯

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テレビ東京の韓流プレミアで放送されている『トンイ』の物語が中盤にさしかかる頃、ひときわ強い存在感を放つ人物が登場した。キム・ドンユンが演じるシム・ウンテクである。

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気さくでおしゃれな振る舞いをするため最初は軽い人物に見えるが、物語の大事な場面では主人公トンイ(演者ハン・ヒョジュ)を陰から支え、密かに運命を動かしていく存在であった。

舞台の中心に立つことは少なくても、彼がいなければ物語の流れは大きく変わっていただろう。まさに“陰の功労者”と言うべき人物である。

このシム・ウンテクには、史実において実在のモデルがいる。その人物こそが金春沢(キム・チュンテク)であった。

彼は一時期“西人派の黒幕”と呼ばれるほど策略に長け、恐れられた人物であった。

キム・ドンユンが演じるシム・ウンテク(写真=韓国MBC)

歴史を陰で揺るがした黒幕

1670年に名門の家に生まれた彼の祖父は、西人派の中心人物であり、朝鮮王朝第19代王・粛宗(スクチョン)の正室・仁敬(インギョン)王后の父である金万基(キム・マンギ)であった。

南人派との激しい党争を率いた金万基の血を引く者として、金春沢が注目されるのは自然な流れであった。

しかし金春沢には大きな弱点があった。科挙試験に合格していなかったのである。そのため正式な役人の地位にはつけなかったが、西人派の内部では行動力を生かして動き、実務をこなす存在として重宝された。

彼の人生は波乱に満ちていた。投獄3回、流罪5回という数え切れないほどの苦難が彼の人生を刻んでいる。これは、彼が常に危うい綱渡りをしていたことを物語っている。

さらに興味深いのは、淑嬪・崔氏(スクビン・チェシ)、すなわちドラマにおけるトンイのモデルとの関わりである。一説によると、彼女を宮中に送り込み、粛宗の目にとまるよう仕掛けたのが金春沢であると記されている。

真偽は不明だが、派閥の利益を第一に考える策士であったことを踏まえると、十分にあり得る話である。

結果として淑嬪・崔氏は側室となり、粛宗の寵愛を受け、西人派は大きな恩恵を得た。この流れを裏で操った人物として、金春沢の存在感は歴史の影に強く刻まれている。

シム・ウンテクというキャラクターは、この金春沢の姿を映した鏡のようである。普段は軽やかな笑みを浮かべていても、要所では鋭い知恵を発揮する。

歴史を陰で揺るがした黒幕と、物語を彩るフィクションの人物像が重なり合い、視聴者に強い印象を残すのである。

『トンイ』は史実をそのまま再現した作品ではないが、シム・ウンテクという陰の功労者を通じて、物語は一層深みを増し、歴史ドラマとしての魅力を輝かせている。

文=大地 康

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