両班(ヤンバン)は、高麗(コリョ)時代から朝鮮(チョソン)王朝まで朝鮮半島を支配した貴族的な階層のことだ。
もともとは文班(行政官吏)と武班(軍事官吏)の2つの官職を総合して呼称する用語だったが、最終的に支配階級を総称する言葉として使われるようになった。
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特に、朝鮮王朝は極端の階級社会で身分制度が厳格だったが、両班は王族を除くと最高の階級を維持して、庶民や最下層の身分の人たちを支配した。
それだけ威張り続けた両班の人間だが、科挙に合格しなければ高級官吏になれなかったから、両班の子弟たちは科挙をめざして本当に一生懸命に勉強をした。それでも、合格できなかった両班が多かったというから、本当に難しい試験だった。
とはいえ、両班の人間が科挙に合格すると一気に出世していき、国王を支える高級官僚になる。まさに、国王は両班によって国内統治を円滑に行なっていたと言える。そういう場面は、朝鮮王朝を舞台にした韓国時代劇でもおなじみだ。
そして、両班の中のいくつの家門は屈指の名門として発展した。その1つが、豊山(プンサン)柳(リュ)氏だ。
ここで言う「豊山」は始祖の出身地を表す本貫(ポングァン)で、一族の同一性を示す象徴となっているものだ。
統計的にみると、豊山柳氏は現在の韓国では、1万4千人ほどと言われている。数は少ないが、高麗王朝時代から1千年以上も続く名門中の名門だ。
そういた名門の人たちは過去の存在ではなく、現代韓国に生きている名家として社会全域で活躍している。
その中で特に知られている芸能人とは誰だろうか。
それがリュ・シウォンだ。彼は、2001年放送の『美しき日々』で医学生役を演じてブレイクした俳優である。
芸能人は今も韓国でタンタラ(芸能人を見くびっていう俗語)と言われることが多いが、リュ・シウォンはそんな芸能界に入って大活躍した。本当に彼こそ「生きている両班」と言えるし、存在そのものが「両班の象徴」になっている。
文=大地 康
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