振り返ってみると、近年これほど話題作に立て続けに出演した俳優は、ソン・ソックをおいて他にいないだろう。『犯罪都市 THE ROUNDUP』で冷酷な犯罪者カン・ヘサンを演じ、1000万人俳優の仲間入りを果たした。
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『D.P.-脱走兵追跡官-』『私の解放日誌』『D.P.-脱走兵追跡官-』シーズン2、『コメント部隊』『カジノ』『殺人者のパラドックス』『君は天国でも美しい』『ナインパズル』まで、映画とOTTを問わず絶え間なく走り続けてきた。そのためか、ソン・ソックは再充電を宣言した。
ソン・ソックは最近、ソウル鍾路区のカフェで行われたスポーツソウルとのインタビューで、「今も休まず作品に取り組んでいるが、約束している作品が終わったら、しばらくは長い空白期間を取るつもりだ」と語っていた。
そして「以前は多作を目指すという目標が明確だった。これまで学ぶことが楽しかったが、これからは意味のある“発散”が重要な時期だ」と続けた。
さらに、「もう以前のようにはできないと思った。多作には膨大な時間と労力が必要だからだ。今は違うやり方で演技に変化を加える時期だと感じている」と語ったのだった。
たとえば、『殺人者のパラドックス』(チャン・ナムガム)と『ナインパズル』(キム・ハンセム)は、どちらも刑事役だが、その演技の方向性はまったく異なる。
前者が連続殺人犯を追う荒々しい刑事の雰囲気なら、後者は鋭いプロファイラーを支える知的な刑事として描かれる。共通点よりも差異が際立っている理由がそこにある。
ソン・ソックは、それについて次のように語っていた。
「違いというのは作るものではなく、見つけるものだ。ハンセムは現実とファンタジーの中間にいる人物であり、やりすぎず、控えすぎず、バランスを取ることに注力した。長い期間、綿密に準備した」
「周囲から“最近何してるの?”と聞かれると、“『ナインパズル』しかやってない”と答えていた。完成度の高いミステリーでは目立ちすぎない演技が必要で、作品そのものの面白さを引き出すために努めた。ユン・ジョンビン監督は経験豊富で、求めるものが明確だ。完成したものが観客にどう届くかも的確に把握している。自分はそれを信じて、ただ演じればよかった」と話していた。ワントップへのこだわりはない。共演者がいてこそ相乗効果が生まれると信じている。
ソン・ソックは「2000年代初頭の映画やドラマを見ると、男性俳優がワントップを務める作品が多かった。自分は業界でいう“1番手の俳優”ではなかった」と語り、「映画『コメント部隊』がワントップに近いが、それもキム・ソンチョル、ホン・ギョン、キム・ドンフィらと一緒にやることで惹かれた作品だった。そうした物語の中で自分が力になれると思っている」と明かしたのだった。
『君は天国でも美しい』で共演したキム・ヘジャに対する尊敬の念についても語っていた。
「他の作品に入る前には必ず一度はお会いするようにしている。キム・ヘジャ先生のように、純粋に演技をしたいと心に誓っている。演技と人生が乖離していない方であり、今後の俳優人生において偉大な師のような存在である」
最後に、ソン・ソックは自身を応援してくれるファンに向けて感謝の言葉を残した。
「自分の作品が面白くても面白くなくても観てくれる人が、真のファン第1号だと思っている」と語り、「今も脚本作業を続けている。夢もある。まだ挑戦していないことへの挑戦だ」と、空白期間に取り組む計画を明かした。
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