朝鮮王朝を舞台にした韓国時代劇。これだけたくさん作られると、テーマや時代設定が似てきてしまうのもやむをえない。そう思っていたら、今までほとんど登場しない人物がドラマの主人公になった。それが、韓国KBSで放送された『蒋英実(チャン・ヨンシル)』である。果たして、蒋英実は誰なのか。
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一口でいえば、「朝鮮王朝最高の科学者」と呼ばれている偉人である。
彼は、4代王・世宗の治世時代(1418~1450年)に活躍した科学者で、水時計・日時計や天体観測器具などを開発。15世紀の朝鮮王朝時代に科学技術の発展に貢献している。
もともと低い身分の出身だった。
序列意識に基づく厳しい身分制度を採用していた朝鮮王朝では、蒋英実のように格下の人間は頭角を現すことができないのだが、朝鮮王朝最高の名君と呼ばれる4代王・世宗(セジョン)は、身分の垣根をとっぱらって、誰もが才能をのばせる社会をめざした。その恩恵で、蒋英実も科学の才能を思う存分に発揮できたのである。
こうした天才科学者を主人公にした『蒋英実(チャン・ヨンシル)』。今までの朝鮮王朝のドラマと違って、科学の要素を取り入れることでオリジナリティあふれる時代劇になった。
主役の蒋英実に扮すのはソン・イルグク。『朱蒙』『海神』『風の国』などの時代劇で知られる人気俳優である。彼の鋭い目の演技が今回も大いに生きている。
その蒋英実の才能を支援した世宗は、キム・サンギョンが演じている。
キム・サンギョンといえば、2008年に好評を博した『大王世宗』で世宗を演じていた。彼にとって世宗は当たり役なのだが、8年の歳月を経て再び世宗に扮している。
【あらすじ】
ウンボク(ソン・イルグク)はチャン氏一族の祭祀で、高麗時代に書雲観(天文観測を担当する部署)に務めていた父のチャン・ソンフィ(キム・ミョンス)に初めて出会い、“チャン・ヨンシル”という名前をもらう。
一方、漢陽(ハニャン)ではテジョン(キム・ヨンチョル)が王位の正当性を示すために、日食の求蝕の礼に万全を期すが…。
文=大地 康
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