韓ドラファンからの人気も高い「応答せよ」シリーズの『応答せよ1997』の時代背景のメインは1990年代。当時の熱狂的なファン文化が、リアルに再現されているのが見どころ。
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主人公は「H.O.T」の熱心なファンとして「推し活」に情熱を注ぎ、ライバル的存在だった「Sechs Kies」のファンとの対立もしっかりと描かれている。アイドルをめぐる青春とファンダムの熱気が生き生きと表現された作品でもある。今、推し活をしている若者にとっても共感できる部分、似ていると感じる部分があるのではないだろうか。
ドラマではファン文化のほかにも、大学修学能力試験が終わった後に好きな人へ告白するなど、当時ならではの風景もリアルに再現されており、どこか懐かしさを感じる人も多そうだ。今回は、そんなドラマにも登場している、現在のK-POPアイドルの元祖といっても過言ではない「第一世代アイドル」について紹介しようと思う。
▼そもそも「第一世代」って何?
諸説あるが、主に1990年代後半から2000年代初頭に活躍したアイドルのことを指す。彼ら・彼女らの楽曲にはアメリカのポップやヒップホップ、R&Bの要素が取り入れられた。それまで、ソロ歌手や歌謡曲が中心だった韓国の音楽界に新しい音楽を生み出し、今のK-POPアイドルのベースとなるスタイルを確立したともいわれている。
メンバーのポジション分けや体系的なトレーニングシステムもこの時期に始まったといわれており、のちのK-POP発展の基礎となった。また、ファンダム文化が形成され、応援掛け声やグッズを使った応援スタイルも誕生。韓国内で初のアイドルブームを巻き起こし、10代を中心に圧倒的な人気を誇り社会現象となる。
【H.O.T(エイチオーティー)】
●メンバー:ムン・ヒジュン、カンタ、トニー・アン、チャン・ウヒョク、イ・ジェウォン

1996年、SMエンターテインメントからデビューした5人組ボーイズグループ。「韓国のSMAP」とも呼ばれていたそう。K-POPにおける「アイドルグループ」という概念を確立した存在といわれており、『Candy』『Happiness』『We Are the Future』など数々のヒット曲を生み出している。
音楽・ダンス・ファッションなどを総合的にプロデュースされたグループで、10代を中心に社会現象的な人気を誇っていた。さらに、韓国アイドルとして初めて中国でアルバムを発売するなど、海外展開の先駆けともなった。
2001年に一度解散しているが、2018年に再結成。さらに、2025年11月22日から11月23日に韓国のインスパイアアリーナで開催される「HANTEO MUSIC FESTIVAL」に完全体の5人でヘッドライナーとしてステージに立つ予定だ。
【Sechs Kies(ジェクスキス】
●メンバー:ウン・ジウォン、イ・ジェジン、キム・ジェドク、カン・ソンフン、チャン・スウォン、コ・ジヨン

1997年にDSPメディアからデビューした6人組ボーイズグループ。H.O.Tのライバルとして登場し、クールで洗練されたイメージで人気を集めた。H.O.Tと並んで、当時の韓国アイドル界の二大巨頭で、こちらは「韓国のV6」と言われていたそう。代表曲には『Couple』や『Road Fighter』などがあり、彼らもまた1990年代の熱狂的な韓国アイドルブームを牽引した。
女子高生を中心に絶大な支持を得ていたが、2000年に突然の解散を発表。2016年にバラエティ番組『無限に挑戦』をきっかけに再結成を果たし、16年ぶりの新曲『THREE WORDS』を発表。韓国全ての音楽チャートで1位を獲得し、人気が衰えていないことを証明した。
【S.E.S(エスイーエス)】
●メンバー:パダ、ユジン、シュー

1997年にSMエンタテインメントからデビューした3人組女性グループ。先述したH.O.Tがボーイズグループの元祖だとしたら、S.E.Sはガールズグループの元祖といえるだろう。『I’m Your Girl』や2021年にaespaがリマスタープロジェクトの一環として発表した『Dreams Come True』など多くのヒット曲を持ち、清純で洗練されたイメージで人気を博した。
R&B調のサウンドと高い歌唱力、優れたパフォーマンスで後の少女時代などに大きな影響を与え、女性アイドルの礎を築いた存在。また、日本語曲をリリースするなど日本進出も果たした。メンバーのユジンは、ドラマ『ペントハウス』シリーズに出演するなど、女優としても活躍している。
【Fin.K.L(ピンクル / フィンクル】
●メンバー:イ・ヒョリ、オク・チュヒョン、イ・ジン、ソン・ユリ

S.E.S.のライバルとして、1998年にDSPメディアからデビューした4人組女性グループ。グループ名は「自由を殺すものを終わらせる」という意味の“Fine Killing Liberty”の略。『私の彼氏に』『永遠の愛』などが大ヒットし、清純ながらも力強い魅力で人気が高かったガールズグループだ。
メンバーのイ・ヒョリは後にソロ歌手やバラエティタレントとして、オク・チュヒョンはミュージカル女優として成功し、今も韓国芸能界を代表する存在。イ・ジン、ソン・ユリもそれぞれ女優として活躍中だ。
音楽番組やバラエティ番組などで、先輩アイドルグループの曲をカバーすることも多い韓国アイドルたち。今現在、K-POPオタクをしている人も聴いたことがあるグループ名や、曲名があったのではないだろうか。カバーを見て興味を持った方は、ぜひオリジナルのパフォーマンスや曲も一度聴いてみてほしい。
(文=豊田 祥子)
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