Netflixで配信中の『魔法のランプにお願い』は、現実と幻想の狭間を軽やかに往来する、まるで夢のように美しいファンタジー・ロマンティックコメディである。
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長き眠りの果てに目を覚ましたランプの精ジーニー(演者キム・ウビン)と、心を閉ざした女性ガヨン(演者ペ・スジ)の出会いは、古代の寓話を思わせる神秘的な輝きを放つ。
しかし物語が描くのは、単なる願望成就の奇跡ではない。3つの願いという伝統的なモチーフを軸に、人間の欲望と喪失、そして赦しという普遍的なテーマを、繊細かつ深遠に掘り下げていく。
煌めく映像美の中に浮かび上がるのは、誰の胸の奥にも潜む「満たされぬ想い」の影であり、それが静かに心の水面を揺らすのだ。
その幻想的な世界において、アン・ウンジン演じるミジュは特別な存在感を放つ。彼女は主人公ガヨンの同居人でありながら、どこか得体の知れないミステリアスな気配を纏っている。
穏やかな笑みの裏に隠された秘密の影が、視聴者の好奇心を静かに刺激する。ガヨンにとってミジュは、孤独を包み込む柔らかな防波堤のような存在であり、時に支えとなり、時に沈黙の刃となって物語に波紋を投げかけていく。
アン・ウンジンの演技は、感情の微細な揺らぎを繊細に描き出し、言葉なき場面でも視線を奪う強さを秘めている。その“静けさの中の力”こそ、彼女という女優の魅力の核心である。
2012年にミュージカルの舞台でデビューしたアン・ウンジンは、演劇で培った身体表現と感情の呼吸を自在に操る女優である。ドラマ『ロマンスは計測不能~数字女ケ・スクチャ~』では、チョン・ヘビン扮するケ・スクチャの友人チョ・アンナを演じ、『賢い医師生活』シリーズでは産婦人科レジデント2年目のチュ・ミナに扮した。
さらに、時代劇『恋人~あの日聞いた花の咲く音~』では、ヌングン里の両班の娘ユ・ギルチェを演じた。
『魔法のランプにお願い』のミジュは、彼女の歩んできたキャリアの精華とも言うべき役柄である。現実と幻想、明るさと哀しみ、その狭間で漂う微妙な感情を、アン・ウンジンは一切の誇張なく、まるで呼吸するように自然に演じてみせる。
彼女のまなざしや沈黙は、台詞以上に雄弁であり、観る者の心に余韻を残す。その姿は、きらびやかな幻想の中でこそ際立つ“人間そのものの温度”を象徴している。まさにアン・ウンジンは、現実と夢をつなぐ静かな導き手であり、このドラマの真なる魔法は、彼女のまなざしから生まれているのである。
♢アン・ウンジン プロフィール
生年月日:1991年5月6日生まれ
身長:168cm
星座:おうし座
学歴:韓国芸術総合学校演技科
デビュー:2012年ミュージカル『若きウェルテルの悲しみ』
☆主な出演作
『ロマンスは計測不能~数字女ケ・スクチャ~』(2018年、ドラマ)
『王になった男』(2019年、ドラマ)
『キングダム シーズン1』(2019年、ドラマ)
『ダーリンは危機一髪!』(2019年、ドラマ)
『検事ラプソディ~僕と彼女の愛すべき日々~』(2019年~2020年、ドラマ)
『賢い医師生活 シーズン1』(2020年、ドラマ)
『キングダム シーズン2』(2020年、ドラマ)
『ダークホール-愛を奪う闇-』(2021年、ドラマ)
『賢い医師生活 シーズン2』(2021年、ドラマ)
『一人だけ~あなたさえいれば~』(2021年~2022年、ドラマ)
『恋人~あの日聞いた花の咲く音~』(2023年、ドラマ)
『終末のフール』(2024年、ドラマ)
『いつかは賢いレジデント生活』(2025年、ドラマ)
『魔法のランプにお願い』(2025年、ドラマ)
文=大地 康
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