『魔法のランプにお願い』が描くジーニーとガヨンの願いを賭けた心理戦が火花を散らす

このエントリーをはてなブックマークに追加

Netflixで配信中の『魔法のランプにお願い』第2話は、幻想と現実の境界が溶け合うような美しい余韻を残す一編である。人間の孤独、愛、そして欲望の光と影を、繊細かつ残酷な筆致で描き出している。

【関連】みんな“クセ強”。ペ・スジは「代表キャラ」更新か

物語の幕開けは、長い眠りから目覚めたランプの精ジーニー(演者キム・ウビン)と、感情を失った女性ガヨン(演者ペ・スジ)の出会いである。

2人は偶然にも同じ屋根の下に暮らすことになり、やがて互いの心の奥底に潜む闇を暴き合う奇妙な関係へと踏み込んでいく。願いをかなえる契約関係を越え、2人の間には、見えない糸で引き寄せられるような緊迫感が漂いはじめる。

第2話では、ジーニーがガヨンの命を奪おうとするが、直前で手を止め、「自分を害するな」という謎の言葉を残して姿を消す。しかしその後、彼はドバイで別れたはずのガヨンの前に、まるで何事もなかったかのように再び現れる。

人間の姿をしたジーニーを見て祖母は驚き、ガヨンは怒りを隠さない。彼女は冷徹な声で「祖母や村人に姿を見せるな」「魔法を使うな」「願いを求めるな」と3つの禁を課す。だが、好奇心に満ちた精霊はその約束をあっさりと破り、村人の間を歩きながらガヨンの過去を探りはじめるのだった。

『魔法のランプにお願い』
(写真=Netflix)

きわめて哲学的な物語

ジーニーが見出したのは、血のつながりを持たず、愛を知らないまま育ったガヨンの哀しい生い立ちである。祖母や村人たちに囲まれながらも、彼女の心には深い喪失と孤独の影が沈んでいた。

腹心セイド(演者コ・ギュピル)から“サイコパス”という言葉を教わったジーニーは、ガヨンを“人間の欠落”そのものとみなし、彼女の心を試そうとする。

「お前を願わせてやる」と挑発するジーニーに、ガヨンは冷たい微笑みを返し、論理と言葉で精霊を翻弄する。感情を持たぬ人間と感情を求める精霊の立場はやがて逆転し、支配権は静かにガヨンの手へと移っていく。

一方、親友ミンジ(演者イ・ジュヨン)との食事の場面では、ガヨンの内面がほのかにのぞく。彼女は「祖母を見送ったら、自分もこの世を去る」と淡々と語る。その言葉には、生きる意味を見失った者の冷たい決意と、変化への恐怖が滲んでいた。

ミンジは涙ながらに「あなたは危険じゃない」と訴えるが、その優しささえもガヨンには届かない。外見の冷たさの裏に、壊れやすいほど脆い心が潜んでいることを暗示する印象的な場面である。

物語の後半、ジーニーは“願いは人を堕落させる”という信念を証明しようと動き出す。

そんなジーニーに、ガヨンが「5人の願いを叶えて、そのうち3人が堕落したら、あなたの言う通り願ってあげる」と言った瞬間、2人の間に新たな“契約の火花”が散り、妖しい心理戦の幕が上がる。

ジーニーの瞳が夜の星のように光り、ガヨンの唇に浮かぶ冷笑がその光を受け止める。欲望と理性、救済と破滅、そのせめぎ合いが、美しくも危うい炎のように燃え上がっていく。

第2話の核心にあるのは、ガヨンを育てた祖母と村人たちの存在である。彼らは「他人の痛みを知ること」「衝動を抑える術」を教えたが、その教えはいつしか彼女に“感情を捨てる生き方”を強いた。

愛を知らぬ精霊と愛を拒む人間の2人が鏡のように互いを映し合う姿は、幻想的な映像美の中で「人間とは何か」を静かに問いかける。

ファンタジーの衣をまといながらも、この物語はきわめて哲学的である。人の心の闇と光、そして救いの在りかを見つめる寓話として、深い余韻を残す作品である。

◆『魔法のランプにお願い』概要
放送年:2025年
出演者(役名):キム・ウビン(ジーニー)、ペ・スジ(キ・ガヨン)、アン・ウンジン(ミジュ)、ノ・サンヒョン(スヒョン)、コ・ギュピル(セイド)
監督:イ・ビョンホン(『エクストリーム・ジョブ』など)
脚本:キム・ウンスク(『太陽の末裔Love Under The Sun』『ザ・グローリー ~輝かしき復讐~』など)
配信情報:Netflix

文=大地 康

【関連】『魔法のランプにお願い』でキム・ウビンがランプの精に大変身!

【関連】最旬女優アン・ウンジンが『恋人』で魅せた「女の一生」がスゴい!!

【関連】キム・ウビンの“元カノ役”で話題沸騰中!『魔法のランプにお願い』に花を添えたソン・ヘギョらカメオたち

前へ

1 / 1

次へ

関連記事


RANKINGアクセスランキング

写真


注目記事