FODで配信中の『マイ・ユース』はどんなドラマなのか

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日本ではFODで配信されている『マイ・ユース』を見終えた後に胸の奥底に広がる余韻は、あまりに繊細で、言葉にしようとしてもすぐには掴めないものであった。

【写真】『マイ・ユース』主演カップルの撮影カットに“ドキッ”

華やかな事件が連続するわけでもなく、激情に押し流されるような展開もない。けれど、この作品は確かに心の柔らかな部分にそっと触れ、長く忘れていた感情を静かに呼び覚ます、不思議な力を放っているのである。

物語の中心にいるのは、ソンウ・ヘ(演者ソン・ジュンギ)とソン・ジェヨン(演者チョン・ウヒ)の2人だ。かつて互いの青春を鮮やかに照らし合った初恋の相手でありながら、長い歳月のあいだ離れ離れになっていた。

再会は偶然のようでありつつ、どこか必然に導かれたもののように描かれる。

初めて画面でその姿を見たときから、視聴者はこの出会いが単なる恋愛の物語にとどまらず、“大人になった2人が過去と現在をどう受け止め、和解するのか”という深い問いを投げかけてくることに気づかされるのである。

『マイ・ユース』
(写真=韓国JTBC)

珠玉のロマンス

ソンウ・ヘは、人より遅れてようやく平凡な暮らしを手に入れた男であった。しかし、ソン・ジェヨンとの再会によって、その静かな日常は大きく揺らぎ始める。

彼女は夢と成功を追いながらも、彼の心の奥底に眠っていた記憶を呼び起こし、過去の痛みや葛藤を再び突きつけてくる。互いの存在が、封じ込めてきた想いを解き放ち、2人を過去と向き合わせていくのである。

この物語の魅力は、単なる懐古に留まらない点にある。初恋という一瞬の光が、その後の人生をどれほど深く形作るのか。

そして再び巡り合ったとき、その光を取り戻せるのか。映像の隅々にまで息づく繊細な揺らぎが、視聴者を自らの青春の記憶へと導いていく。

ソン・ジュンギは『財閥家の末息子』や『ヴィンチェンツォ』で見せた鋭い存在感とは異なり、今回、等身大の男性像を柔らかく演じている。その自然体の佇まいは、過去に縛られながらも前へ進もうとする人間の姿を鮮やかに映し出していた。

一方、チョン・ウヒは複雑な感情を抱えた女性を繊細に体現し、彼女の葛藤と迷いを観る者に深く響かせる。2人の共演は決して派手ではないが、静かで確かな震えを心に残す。

『マイ・ユース』は、愛と記憶、そして人生における“やり直し”をテーマにした物語である。誰もが過去に置き去りにしたかけらを抱えて生きている。

そのかけらを見つめ直し、再び抱きしめることの意味を、この作品は優しく教えてくれる。見終えた後には、切なさと温もりが入り混じる不思議な余韻が残り、自らの青春にも確かにあの光があったのだと振り返りたくなる。

『マイ・ユース』は、派手さを競う作品群の中にあって、心の奥に眠る“忘れられない感情”を呼び覚ます珠玉のロマンスである。

これからの物語がどのように進み、2人がどのような答えを見つけていくのか、その静かな歩みにすでに目を離せなくなっているのである

◆『マイ・ユース』概要

放送局:JTBC (2025年)
出演者(役名):ソンウ・ヘ(ソン・ジュンギ)、ソン・ジェヨン(チョン・ウヒ)、モ・テリン(イ・ジュミョン)、キム・ソクジュ(ソ・ジフン)、
監督:イ・サンヨプ(『ユミの細胞』シリーズ、『知ってるワイフ』など)
脚本:パク・シヒョン(『『それでも僕らは走り続ける』など』
配信情報:FODで配信中

文=大地 康

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