Netflixの話題作『イカゲーム』シーズン3が全世界で注目を集める中、女優パク・ギュヨンの存在感が大きな話題となっている。彼女が演じるカン・ノウルは、壮絶な過去を背負った脱北軍人であり、現在はゲームの運営側、いわゆる“兵士11番”と呼ばれているキャラクターである。
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カン・ノウルは、脱北の際に幼い息子を北朝鮮に残してしまったという深い悲しみを胸に秘めている。彼女がゲームの運営側に身を置く理由は、その子供の行方を追い続けるためである。
無表情なマスクの下で、参加者たちの命運を見守るという冷酷な役割を担いながらも、ノウルはその任務の裏で密かに臓器売買を阻止しようと動くなど、倫理と人間性を貫こうとする姿を見せる。
このような重層的なキャラクターを演じるにあたり、パク・ギュヨンはセリフに頼らず、視線や呼吸、微細な身体の動きで内面の葛藤と変化を描き出している。
冷静沈着に見える外面の奥に、喪失と希望という矛盾する感情が交錯するノウルは、極めて難易度の高い役どころであるが、内省的かつ繊細な演技を得意とするパク・ギュヨンにとっては、むしろその強みを存分に発揮できる場となった。
パク・ギュヨンは大学在学中にスカウトされ芸能界入り。ウェブドラマでキャリアをスタートさせた後、『ロマンスは別冊付録』で出版社の開発部マーケティングチーム員オ・ジユルを演じ、初めて大衆の注目を集めた。
さらに、『サイコだけど大丈夫』では精神病院の看護師ナム・ジュリとして、感情を抑えながらも深い情をにじませる演技で高く評価される。
そして彼女の代表作ともいえるのがNetflixオリジナルシリーズ『Sweet Home-俺と世界の絶望-』である。崩壊した世界で生き延びるユン・ジス役を通じて、冷静さと強さを併せ持つ人物像をリアルに演じ、シーズン2でも中心人物として物語を支えた。
このように着実にキャリアを積み重ね、役柄ごとに新たな一面を見せてきたパク・ギュヨンは、今回の『イカゲーム』シーズン3でもその演技力を遺憾なく発揮している。
静かなる存在感で物語に深みと緊張感を与える彼女は、今や韓国ドラマ界において欠かせない俳優の1人といえるだろう。
文=大地 康
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