『私たちの映画』名脇役の真価、プ・スンウォン役ソ・ヒョヌが映し出す孤独と支え

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日本ではDisney+で配信中の韓国ドラマ『私たちの映画』は、単なる恋愛ドラマにとどまらない、人生の深淵に迫る作品である。

物語は、映画監督と俳優という職業に生きる男女の関係を軸に展開するが、そこに織り込まれているのは、夢の儚さ、生の有限性、才能という光と影、そして時間という誰にも等しく流れるものに対する切実なまなざしである。

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この作品において静かに、しかし確かな存在感を放っているのが、ソ・ヒョヌ演じるプ・スンウォンである。主人公たちの周囲にいる人物として、彼は直接的な行動よりも、目線や沈黙、立ち位置で語るタイプのキャラクターだ。

その控えめな佇まいが、かえって人間関係の微妙な空気感や、言葉にされない感情の交錯を浮き彫りにしている。彼は、誰かを支える役割であると同時に、自身もまた孤独や葛藤を内に秘めている存在であり、登場人物たちの生きづらさの鏡とも言える。

そんな繊細な人物像を立体的に演じるソ・ヒョヌは、韓国・釜山出身の俳優で、1983年11月20日生まれ。2010年にミュージカル『私の心のオルガン』で俳優としての一歩を踏み出して以来、舞台を皮切りにドラマに出演して着実に活動の場を広げてきた。

『私たちの映画』
『私たちの映画』でソ・ヒョヌが演じるプ・スンウォン(『私たちの映画』
ディズニープラスにて6月13日(金)より独占配信開始
(C)2025 SBS & Studio S. All rights reserved.)

物語に欠かせない要素

彼の演技は一貫して過剰ではなく、しかし記憶に残るという特徴を持ち、観客の感情に寄り添うように静かに語りかける。

特に近年は、ドラマ『悪の花』『セレブリティ』『殺し屋たちの店』『サムシクおじさん』など、ジャンルを問わず幅広い作品で重要な役どころを演じてきた。

『私たちの映画』において、プ・スンウォンという人物を通して描かれるのは、主役ではない人生にも確かに宿る光と影である。

ソ・ヒョヌの飾らない、だが的確に感情の機微を捉える演技が、このドラマの厚みと真実味を支えているのは間違いない。

静かに心を揺さぶる存在として、彼の演技はこの物語に欠かせない要素であり、『私たちの映画』を“ただの恋愛劇”では終わらせない深さへと導いている。

文=大地 康

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