傑作時代劇『ホジュン~伝説の心医~』を見ていると、人間の尊厳がどれほど大事であるかがよくわかる。主人公のホ・ジュン(演者キム・ジュヒョク)は天才的な医療技術を持ちながら、野心がまったくなく、いつも患者のために最善を尽くしている。
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その気高い精神こそが人間の存在理由の根本であり、世の中を明るく照らす光になっている。ドラマではそのことを常に痛感させられる。
一方、テレビ東京の韓流プレミアで6月13日に放送された第33話では、ユ・ドジ(演者ナムグン・ミン)に大ピンチが訪れていた。彼は、14代王・宣祖(ソンジョ)の第一側室である恭嬪・金氏(コンビン・キムシ/チャン・ジウンが演じている)から信頼されていたのだが、彼女が出産時に力を発揮できなかった。
それどころか、胎児が危険な状態になってしまった。内医院(ネイウォン)を仕切る令監(ヨンガム)からは「もしもの時は命がないぞ」と脅かされた。ユ・ドジとしても生きた心地がしなかった。
それなのに、女性の出産に関しては内医院の男性医官は何もできなかった。その点では医女に任せるしかないのだ。幸いに、ユ・ドジは胎児が危険な状態になった時の対処法を熟練の医女から聞いて、その対処法を実践した。結局、恭嬪・金氏は無事に王子を出産した。
こうしてユ・ドジは命を救われた。それどころか国王から褒美までもらい、さらなる出世が見えてきた。ユ・ドジは新しく生まれた王子の健康面も管理するようになり、王室に着実に食い込んでいた。
その間、ホ・ジュンは庶民の治療に従事していた。彼は本当に融通がきかない男である。知り合いの子供が病気になった時も真っ先に診てあげることができず、順番をきちんと守らせた。
もう少し融通を聞かせてもいいのに、と周囲から言われても、ホ・ジュンはそういうタイプの男ではなかった。常に原則を守り、不正に対しては絶対に目をつぶらない。まさにユ・ドジと対照的な生き方をどこまでも貫いていた。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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