テレビ東京にて放送中の『コッソンビ 二花院(イファウォン)の秘密』は、「陰謀と初恋」と「正義と宿命」が織りなす繊細で詩情あふれるドラマである。
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そして、回を追うごとに霧が立ちこめるような謎めいた展開になっている。薄明の中を歩むような物語は、切なくも美しく、ひとつひとつの場面に哀愁と緊張が漂う。
物語の中心には、王位を奪うという血に染まった罪を背負った国王イ・チャン(演者ヒョヌ)がいる。彼は、かつて兄を手にかけて王座に就いた。しかし、その顔には国王の威厳はなく、民に苦しみを与えるばかりの暴君であった。
彼が異様なまでに執着するのは、亡き兄の息子イ・ソルの行方である。己の罪の影に怯え、その存在を消し去ろうと焦燥にかられるその姿は、もはや哀れでしかない。
こうした不穏な情勢を前に存在感が高まってきたのが、左議政(チャイジョン/政権の副総理)のシン・ウォノ(演者アン・ネサン)だ。
彼は政治の王道をまっすぐ歩く男であり、乱れる国政に心を痛め、密かに国王に対抗する新たな勢力を育てようとしていた。その戦略は用意周到であり、最後まで目が離せない。
そして、物語に優しい色彩を添えるのが、二花院の若き女主人ユン・ダノ(演者シン・イェウン)である。彼女の胸には、幼き日に助けた1人の少年への淡く切ない思いが今も息づいている。彼は果たして、イ・チャンが探すイ・ソルなのか。答えの出ぬまま、彼女の瞳には揺れる想いが映る。
さらに、二花院には3人の若者が下宿している。カン・サン(演者リョウン)、キム・シヨル(演者カン・フン)、チョン・ユハ(演者チョン・ゴンジュ)というイケメンたちだ。彼らの誰かが、イ・ソルである可能性が高まってきた。
その中で暗躍するのがチャン・テファ(演者オ・マンソク)である。彼は漢城府(ハンソンブ/都を管轄する官庁)の役人で、鋭い目で3人をずっと監視している。冷徹で執念深いその男の行動が、運命の歯車を大きく回すことになっていく。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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