時代劇『麗<レイ>~花萌ゆる8人の皇子たち~』は、「好きな名作時代劇」のランキングで常に上位に輝く傑作である。
この作品の大きな魅力のひとつは、華麗なる俳優陣の競演だ。高麗時代を舞台に、気品と威厳を持った皇子たちが恋と権力をめぐって織りなす物語は、まさに絢爛たる歴史絵巻といえる。
そして、物語の序盤は夢のようなロマンスが広がるが、中盤に差しかかると、王位継承をめぐる皇子たちの骨肉の争いが繰り広げられ、緊迫感あふれる展開へと移行する。甘美な恋の余韻が張り詰めた陰謀劇に変わる瞬間、見る人の心は激しく揺さぶられる。
ヒロインを演じたのは、繊細な演技力を持つIUである。彼女が演じたヘ・スは、現代から高麗時代へと魂だけがタイムスリップするという神秘的な設定を持つ女性であった。突如として王族の世界に身を置くことになった彼女は、戸惑いながらも明るさを失わず、皇室のしきたりに順応しようとする。
彼女の周囲には、個性豊かで魅惑的な皇子たちがいた。その中でも、特に彼女の心をとらえたのが、第4皇子ワン・ソ(イ・ジュンギ)と第8皇子ワン・ウク(カン・ハヌル)であった。
ワン・ソとワン・ウクは宿命のライバルだが、性格は対照的だった。ワン・ソは、冷徹な仮面の裏に孤独と傷を秘めた男である。一方、ワン・ウクは、温和で包容力に満ちた人物だ。この2人の皇子を演じた俳優の演技は、見事というほかない。
イ・ジュンギは、時代劇において比類なき存在感を誇っている。『麗<レイ>~花萌ゆる8人の皇子たち~』では、徹底した役作りにより、秘めたる愛に苦しむ男の姿を緻密に表現していた。10キロ以上もの減量を敢行し、よりシャープで鋭利な印象を強調。彼の演技は、歴史が交錯する本作を、至高のエンタテインメントへと昇華させた。
カン・ハヌルは天性の親しみを前面に出して、ワン・ウクの複雑な心情を巧みに表現した。知性と優しさを兼ね備えた皇子として、視線や仕草1つ1つに温もりを宿らせ、ドラマにさらなる深みを与えていた。
この2人の俳優が、それぞれの持ち味を存分に発揮しながら、熾烈なライバル関係を築き上げていた。そして、彼らは競い合うようにして、ヘ・スの心を奪おうとする。その愛の狭間で揺れ動くヘ・スの姿を、IUは見事に演じ切った。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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