ハン・ガインが『太陽を抱く月』に主演したときには、すでに実績が十分な主演女優だった。彼女は、映画『マルチュク青春通り』(2004年)で、クォン・サンウとラブロマンスを演じて大評判になった。それ以来、「初恋を象徴する女優」と呼ばれたのだ。『太陽を抱く月』に主演したのは、それから8年後のことだ。
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彼女が演じたヒロインのヨヌは、キム・スヒョンが演じるフォンと、チョン・イルが扮する陽明君(ヤンミョングン)の2人から、熱烈な愛を受ける女性だった。まさに、ハン・ガインが持つイメージにふさわしい役だったのだが、彼女にしてみれば、ヨヌは演じるのがとても難しい人物だった。
「ヨヌは、実際の私とは違う部分が多くあります。ヨヌは私よりも他の人のことを先に考えて、相手の立場で一緒に悩んだり気を使ったりできますが、私はそうではない部分が多いのです」
実際の自分と周囲が抱くイメージとのギャップが、ハン・ガインにとって辛かったという。そんな中で、彼女はどのようにヨヌというキャラクターを理解したのだろうか。
「空に浮かぶ“月”を考えました。ヨヌの他の名前が“ウォル(ハングルで月の別称)”だからです。憂鬱なときや仕事に疲れて家に帰るとき月を見ると、とても慰められます。そんな月のように、他の人が大変なときに、暖かく慰めるように抱くことができる人物がヨヌだと思いました」
こうしてヨヌを理解したハン・ガイン。実はもうひとつ苦労したことがあった。それは何だったのだろうか。キム・スヒョンとチョン・イルとの年齢差だったのだ。
「私のほうが先輩で年も上なのでスヒョンさんたちからしたら、どうしても不便な点もありました。とはいえ、どんな相手に対しても自分を上に置かないのがヨヌの特徴ですから、その点を忘れないように努力しました。さらに、撮影が終わるときまでスヒョンさんにきつく当たらないようにしました」
ハン・ガインは後輩俳優たちに精一杯の配慮を見せて、撮影を順調にこなしていったのである。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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