10月2日、韓国・釜山で「第29回釜山国際映画祭」(以下、BIFF)の開幕式が行われた。
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今回の開幕式で最も注目を集めたのは、2023年に亡くなった故イ・ソンギュンさんが韓国映画功労賞を受賞した瞬間だ。
巨大スクリーンには故人のフィルモグラフィーをまとめた短い映像が流れ、それを見ていた俳優ソン・ジュンギやハ・ユンギョンらが涙を流した。
ソン・ジュンギは先月、イ・ソンギュンさんの遺作となった映画『幸福の国』(原題)のGVイベントに出席し、「この映画は僕にとってイ・ソンギュン先輩を哀悼する過程という意味がある。僕だけの悼みだ」と語っている。
開幕式の司会を務めたパク・ボヨンは、「『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』の最後の挨拶のように、今は安らかな場所にいらっしゃることを願う」とコメント。同じく司会のアン・ジェホンは「故イ・ソンギュンさんを偲び、今年は代表作6作品をご紹介する。先輩を追悼する意味深い時間になればと思う。韓国映画功労賞は遺族にしっかりとお届けする」と話した。
今年のBIFFでは、イ・ソンギュンさんを追悼する特別企画プログラムも用意された。
生前に彼が出演した代表作6作品が上映され、スペシャルトークも行われる。上映される作品は『坡州』(2009)、『ソニはご機嫌ななめ』(2013)、『最後まで行く』(2014)、『パラサイト 半地下の家族』(2019)、『幸福の国』(2024)、ドラマ『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』(2018)だ。
10月3日に行われた『幸福の国』のスペシャルトークには、俳優チョ・ジョンソクとユ・ジェミョンが出席し、イ・ソンギュンさんへの想いを語った。
チョ・ジョンソクは「イ・ソンギュン兄さんは誰よりも集中力があり、鋭く、強烈に役に取り組んでいると感じた。情熱的に撮影に臨み、次のカメラアングルの準備が整う間にもアイスブレイクをしてスタッフを気遣っていた。兄さんの一番の思い出はそんな優しさだ」と振り返った。
また、尋問室のシーンを集中して撮影した事について、「セット撮影では、そういうシーンをまとめて撮影することが多い。5日間、2人で話すシーンを撮影したのだが、たくさん会話を交わし、楽しく撮影した。誰よりも切ない気持ちで演技をしたので、今でも忘れられない」と、故人への思いを語った。
同日、『最後まで行く』のスペシャルトークイベントも行われ、俳優チョ・ジヌンとキム・ソンフン監督が出席した。
チョ・ジヌンはイ・ソンギュンさんと縁深い同僚だ。イ・ソンギュンさんが麻薬容疑でDisney+シリーズ『NO WAY OUT:ザ・ルーレット』で降板すると、代わりにチョ・ジヌンが加わったのだ。
チョ・ジブンはイ・ソンギュンさんについて「ツンデレのようなところがありながらも、心の奥まで届く表情を持っている。本当に素晴らしい兄さんだった。実兄がいないので、『本当の兄貴ができた』と思っていた」と愛情を語った。イベント中も涙をこらえることができなかった彼は、「ずっと忘れない。皆さんもぜひ覚えていてほしい」と、涙をこぼした。
(記事提供=OSEN)
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