テレビ東京の韓流プレミアで放送されている『宮廷女官チャングムの誓い』で、朝鮮王朝第11代王・中宗(チュンジョン)の正妻である文定(ムンジョン)王后を演じているのがパク・ジョンスクだ。
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彼女は、主人公チャングムを演じるイ・ヨンエや中宗に扮しているイム・ホたちとすばらしい演技を披露しており、注目を集めている。
本作の中で文定王后は、医女のチャングムに世子(セジャ)の毒殺を依頼するような一面を見せることはあったが、ごく常識的な女性として描かれていた。決して悪女ではなく、むしろ善人と言えるところもあった。
史実では、何かと問題を起こした「いわくつきの人物」という印象が強い文定王后。同じくイ・ビョンフン監督が制作した『オクニョ 運命の女(ひと)』では、彼女はどう描かれているのかを見てみよう。
本作では、『宮廷女官チャングムの誓い』とは違い、文定王后はどうしようもない悪女として描かれていて、欲深くわがままな女性になっていた。しかも、悪役が多いキム・ヘスクが本当に憎たらしく演じていたので、視聴者の中には嫌悪を感じた人もいただろう。
両作品ともイ・ビョンフン監督がメガホンを取っているのに、なぜこんなに文定王后のキャラが違ったのだろうか。
それは、悪役の比重が変わったからだ。
『宮廷女官チャングムの誓い』では、チャングムの最大のカタキ役として出てきたのは、キョン・ミリが演じたチェ尚宮(サングン)だった。この女性はチャングムを徹底的に邪魔し、悪事のかぎりを尽くしていた。
このチェ尚宮が悪役を一手に引き受けていたので、その他の配役を悪役にする必要がなかったので、文定王后を悪くしなくてもよくなったのだ。それによって、文定王后は王妃として穏やかな役を受け持つことができた。
しかし、『オクニョ 運命の女(ひと)』では状況がまったく変わった。
イ・ビョンフン監督は主人公と対比させるために悪役を辛辣に描く人なのだが、『宮廷女官チャングムの誓い』でチェ尚宮が受け持った悪役を今度は『オクニョ 運命の女(ひと)』で文定王后が引き受けることになった。
同じ時代を扱った時代劇でも、登場する国王や王妃の描き方が違うと感じることは多い。その登場人物たちを俳優がどのように演じているのかにもぜひ注目してほしい。
文=大地 康
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