韓国時代劇の名作と称される『宮廷女官チャングムの誓い』を演出したイ・ビョンフン監督。彼は「韓国時代劇の巨匠」と言われるが、2000年当時に韓国で放送されて大ヒットしたドラマ『ホジュン』を手掛けていた。
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その際に朝鮮王朝の正史『朝鮮王朝実録』を調べていて、医女としての長今(チャングム)に気づいたそうだ。イ・ビョンフン監督はすぐに長今を主人公にしたドラマを作りたかったが、すでに『ホジュン』で医者を主役にしていることが問題になった。
「同じテーマで繰り返したくない」
イ・ビョンフン監督はそう考えた。医者を連続して取り上げると素材が重なってしまうからだ。その点で新しい歴史ドラマの制作を嫌がっていたら、脚本家のキム・ヨンヒョンが新しいアイディアを出してきた。それは、「前半に長今を料理人として登場させる」という企画であった。
その斬新さにイ・ビョンフン監督も大いに納得した。こうして、「前半は宮中の厨房で腕をふるう料理人、後半は王の主治医として活躍する医女」という設定が決まったのである。
2003年9月から韓国で放送された『宮廷女官チャングムの誓い』は大成功して、長今の名は一気に知れ渡った。同時に、長今が生きていた時代の歴史にも関心が集まった。ドラマの成功が、思わぬ波及効果を生んだわけだ。
特に、『宮廷女官チャングムの誓い』は史実に残る重要な出来事をうまくストーリーの中に組み込んで、視聴者の関心を高めていた。たとえば、『宮廷女官チャングムの誓い』の冒頭に出てきたのが、廃妃となった尹氏(ユンシ)が自害に追い込まれる場面だった。
彼女は9代王・成宗(ソンジョン)の正室だったが、側室を呪い殺そうとしたり成宗の顔を引っかいたりしたことを責められて、王宮から追い出されていた。
そうした廃妃の歴史的な逸話を物語の中に巧みに織り込んで、イ・ビョンフン監督は『宮廷女官チャングムの誓い』を傑作に仕上げていった。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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