イ・ヨンエが主演している『宮廷女官チャングムの誓い』は、善と悪がはっきりしたドラマだった。もちろん、善を表現したのは主人公のチャングムであり、悪の象徴となっていたのが、キョン・ミリの演じたチェ尚宮(サングン)であった。
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ドラマの中でチェ尚宮は伝統的な一族の利権を守るために、数々の陰謀を巡らせていた。視聴者から見れば本当に憎たらしかっただろう。そういう悪役に徹したキョン・ミリは、いつものスタイルなら、撮影しながら実際に放送されたドラマを見てチェックをしていた。
しかし、『宮廷女官チャングムの誓い』のときは、インターネットでのコメントをまったく読まなかったという。そればかりか、肝心の放送すらもあえて見なかったそうだ。
それは、ドラマの評判を気にしないほうがいいと判断したからだ。悪役をやっているだけに、他人の意見を知りすぎると、どうしても演技がブレてしまうと感じたのだ。そうやって、彼女はチェ尚宮になりきろうと努めた。
このキョン・ミリは、共演した多くの人が「ぜひまた一緒に撮影したいです」と語るほど気さくな性格で知られている。彼女は先輩女優として撮影中にいろいろな提案をするが、『宮廷女官チャングムの誓い』でも有効なアドバイスをしている。それは、カチェという付け髪があまりに重いという問題だった。撮影時間が長くなると、女優たちの頭が痛くなってしまったのだ。
そこで、撮影していないときはカチェをすぐに外してしまう、ということを提案した。それまではずっとカチェをつけているのが当たり前だったが、キョン・ミリが実情に沿った提案をしたのだ。おかげで、みんなが助かったという。
このように、リーダーシップを発揮していた彼女には、撮影中に楽しみがあつた。夜中の12時頃になるとインスタントラーメンが出されるのだが、寒い時期の撮影では本当に重宝したという。このインスタントラーメンの美味しさが『宮廷女官チャングムの誓い』では思い出深かった、と後にキョン・ミリも振り返っていた。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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