韓国ドラマの中で「時代劇」は重要なカテゴリーだが、特に歴史のダイナミズムを感じさせるスケールの大きい作品が多い。その中でも、今回は朝鮮王朝の転換期となった時代を描いた作品を3つ選んでみた。どのドラマも理不尽な歴史を真正面から取り上げていて、制作側のエネルギーを感じさせる。
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●『不滅の恋人』
(2018年/TV CHOSUN/全20話)
出演者(役名)/ユン・シユン(イ・フィ)、チン・セヨン(ソン・ジャヒョン)、チュ・サンウク(イ・ガン)
〔描く歴史の重要ポイント〕演出を担当しているのがキム・ジョンミン監督。独特の演出スタイルを見せて、ドラマを壮大に仕上げている。主役カップルは、『製パン王キム・タック』で驚異的な視聴率をあげたユン・シユンと、『オクニョ 運命の女(ひと)』で一躍「時代劇のヒロイン」になったチン・セヨン。この2人に強烈な個性を持つチュ・サンウクが加わっている。
ストーリーは、ライバル心をむきだしにする王子2人が、1人の女性をめぐって激しく対立するというもの。2人の王子には歴史上のモデルがいて、4代王・世宗(セジョン)の二男・首陽大君(スヤンデグン)と三男・安平大君(アンピョンデグン)だ。この王子たちが、『不滅の恋人』では対立するライバル同士として激烈に描かれており、そこが一番の見どころだ。
●『風と雲と雨』
(2020年/TV CHOSUN/全21話)
出演者(役名)/パク・シフ(チェ・チョンジュン)、コ・ソンヒ(イ・ボンリョン)、チョン・グァンリョル(イ・ハウン)、ソンヒョク(チェ・インギュ)
〔描く歴史の重要ポイント〕かつて傑作時代劇『王女の男』で復讐に燃えるヒーローを演じたパク・シフが、9年ぶりに時代劇に主演して歴史を動かす大胆な男に扮した。それが、人間の運命を四柱推命で天才的に占うチェ・チョンジュンだ。朝鮮王朝では1860年代に熾烈な王位継承問題が起こったが、チェ・チョンジュンが当時の政治を牛耳る一族と壮絶に闘っていく。そこが迫力満点だった。
歴史的にビックリさせられたのが、チョン・グァンリョルが興宣大院君(フンソンデウォングン)を極端な曲者として演じていたこと。ドラマは史実を巧みに取り入れていて、チェ・チョンジュンと興宣大院君の名勝負がとても見応えがあった。
●『ヘチ 王座への道』
(2019年/SBS/全48話)
出演者(役名)/チョン・イル(ヨニングン=英祖)、コ・アラ(ヨジ)、クォン・ユル(パク・ムンス)、チョン・ムンソン(イ・タン)
〔描く歴史の重要ポイント〕チョン・イルが演じた英祖(ヨンジョ)は、前半こそ出自が低い王子として屈辱を受けていたが、後半になって苦難を乗り越えていく局面に十分な説得力があった。また、異母兄の景宗(キョンジョン)との交流は心温まるエピソードに満ちていた。
その後、国王に就いた英祖が民衆のための政治を行っていく過程も巧みに描かれていた。チョン・イルは時代劇の演技に定評があるスターだが、堂々たる国王としても威厳がある存在感を見せていた。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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