終盤を迎えた『涙の女王』は、ホン・ヘイン(キム・ジウォン)とペク・ヒョヌ(キム・スヒョン)による「夫婦の復活」を描いたドラマだが、周辺の登場人物が本当に面白い。その中で、ヒョヌの姉と兄が独特なキャラを見せている。
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ヒョヌの実家は田舎の龍頭里(ヨンドゥリ)。梨やリンゴの畑が広がるのどかな農村地帯だ。ここに暮らしているのがペク・ドゥグァン(チョン・ベス)とチョン・ボンエ(ファン・ヨンヒ)の夫婦で、子供がミソン(チャン・ユンジュ)、ヒョンテ(キム・ドヒョン)、ヒョヌとなっている。
ミソンは龍頭里で美容院を経営中だ。若い時は典型的なヤンキーだったのだが、今は仕事に集中している。そうしなければならない事情があるのだ。博士課程で勉強中の夫と子供をアメリカに留学させているからだ。その経費はみんなミソンの肩にかかっている。彼女も本当に必死だ。
ヒョンテはかつて韓国で有力なボクシング選手だった。今は龍頭里でボクシングジムを運営している。妻とは別居していて、両親と一緒に住んでいる。どう考えても生活力のないパラサイト状態なのだ。
ミソンとヒョンテは、ヒョヌが財閥家の令嬢と結婚したことで、相応の経済的な恩恵を受けてきた。それだけにヒョヌが離婚したいと言ったときは必死に止めた。彼を説得しなければ恩恵が止まってしまうからだ。そのあたりのオロオロした感じはちょっと情けなかった。
ところが、さらなる恵みがやってきた。ヘインの父親ホン・ボムジュン(チョン・ジニョン)がヒョヌの実家に世話になったお礼に、ビルを一つプレゼントしたのだ。途端に、分け前をもらおうとしてミソンとヒョンテが猛烈にアピールを開始した。それぞれがビルの中での美容院とボクシングジムの開設を狙ったのである。そんな貪欲な態度が大いに笑えた。
緊迫した場面が多かった『涙の女王』で、ミソンとヒョンテの登場シーンは格好の緩衝材の役割を果たしていた。そんな「憎めない痛快キャラ」がドラマを大いに盛り上げていた。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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