最近は完全にフィクションの時代劇も増えてきているが、やはり史実を基にした作品は歴史的な重厚感がある。その中でも、史実のいいところを巧みに取り入れて素晴らしいストーリーを作った時代劇を5本選んでみた。
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●『赤い袖先』
(2021~2022年/MBC/全17話)
出演者(役名)=イ・ジュノ(イ・サン)、イ・セヨン(ソン・ドギム)、イ・ドクファ(英祖)、カン・フン(ホン・ドンノ)
〔ここが見逃せない!〕名君イ・サンに扮したイ・ジュノ(2PM)の演技が絶賛された時代劇。イ・サンと宮女ソン・ドギムの抒情的な恋物語を描いた王宮ロマンスで、同時に、歴史的な出来事も重厚に描かれている。特に、イ・ジュノとイ・セヨンの表現力が豊かな演技に感情をグッと揺さぶられる。女性監督がメガホンを取ったが、美的感覚があふれた映像は本当に素晴らしかった。
●『ヘチ 王座への道』
(2019年/SBS/全48話)
出演者(役名)/チョン・イル(ヨニングン=英祖)、コ・アラ(ヨジ)、クォン・ユル(パク・ムンス)、チョン・ムンソン(イ・タン)
〔ここが見逃せない!〕非常にスリリングな展開で進んでいく迫力満点の時代劇である。チョン・イルが演じた英祖(ヨンジョ)は、前半では出自が低い王子として苦難続きであったが、苦労を乗り越えていく局面に十分な説得力があった。
後半になって国王に就いた英祖が民衆のための政治を行なっていく過程も巧みに描かれていた。チョン・イルは時代劇の演技に定評があるスターだが、朝鮮王朝の国王を演じさせたらピカイチの存在感を持っていた。
●『華政〔ファジョン〕』
(2015年/MBC/全50話)
出演者(役名)/イ・ヨニ(貞明公主)、チャ・スンウォン(光海君)、キム・ジェウォン(仁祖)、ソ・ガンジュン(ホン・ジュウォン)
〔ここが見逃せない!〕17世紀前半の朝鮮王朝の歴史を史実に沿って巧みに描いていて、当時の歴史を知るうえで貴重なドラマになっている。特に、光海君(クァンヘグン)と仁祖(インジョ)という2人の国王を見事に対比させていて歴史のダイナミズムを感じさせる構成がとてもいい。
また、光海君を演じたチャ・スンウォンの人間味あふれる表情力がとても印象的だった。それにしても、イ・ヨニが演じた主人公の貞明公主(チョンミョンコンジュ)は、朝鮮王朝の長い歴史の中でも際立って魅力的な人物像であった。
●『王になった男』
(2019年/tvN/全16話)
出演者(役名)/ヨ・ジング(ハソン/イ・ホン)、イ・セヨン(ユ・ソウン)、キム・サンギョン(イ・ギュ)、クォン・ヘヒョ(シン・チス)
〔ここが見逃せない!〕このドラマはやはり、光海君と道化師の1人2役に扮したヨ・ジングの恐ろしいほどの演技力に尽きる。具体的には、国王と道化師がガラリと入れ替わる場面もヨ・ジングが巧みに演じ分けていた。また、イ・セヨンが扮した王妃とのラブロマンスも切なくて心に残った。
物語は何重にも伏線が隠されていて、回を追うごとに後の出来事が気になって仕方がなくなる。そういう意味では、最後まで飽きさせない展開だった。
●『風と雲と雨』
(2020年/TV CHOSUN/全21話)
出演者(役名)/パク・シフ(チェ・チョンジュン)、コ・ソンヒ(イ・ボンリョン)、チョン・グァンリョル(イ・ハウン/興宣大院君)、ソンヒョク(チェ・インギュ)
〔ここが見逃せない!〕パク・シフが人間の運命を四柱推命で天才的に占うチェ・チョンジュンに扮して、1860年代の王位継承問題に果敢に挑んでいく。このあたりは史実を本当に巧みに生かしていて、歴史の重厚感をたっぷり堪能できる。何よりも、チェ・チョンジュンが政治を牛耳る一族と対決する場面が迫力満点だった。
さらに、チョン・グァンリョルが扮する興宣大院君(フンソンデウォングン)がどんどん豹変していく姿にはゾクゾクさせられた。本当に、ドラマの全編において歴史の息吹が大いに感じられた。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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