【イ・ソジンの変貌】名君イ・サンが芸能事務所に入ったら、どうなる?

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イ・ソジンは、知性がほとばしるタイプの俳優だ。繊細な表情の演じ方も素晴らしい。そんな彼が朝鮮王朝後期の名君イ・サンに扮したイ・ビョンフン監督作品『イ・サン』は、イ・ソジンの知性的な演技が存分に見られたドラマだった。

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特に、イ・サンが政治上の難問に対応する際の思慮深さは、イ・ソジンによって縦横に表現されていた。まさに、イ・ソジンの本領が十分に発揮された傑作が『イ・サン』であったと言えるだろう。

その『イ・サン』は2007年から2008年にかけて制作されたドラマ。それから15年が経った2022年11月と12月に韓国で放送されたのが『エージェントなお仕事』であった。このドラマは、所属俳優のわがままに翻弄される芸能事務所のマネージャーたちを描いており、主役のイ・ソジンは芸能事務所「メソッドエンターテインメント」の理事マ・テオを演じていた。

彼は、オーナーが急死したあとに理事として会社存続に努力していくのだが、性格的には、どうにも頼りないところがある上司だった。たとえば、新人女性社員との「親子疑惑」が出てきたり、自分のほうがライバル会社に移籍しようと画策したり、所属俳優をうまくコントロールできなかったり……。なんとも「トホホ」なキャラなのだ。

そういう意味では、イ・ソジンが『エージェントなお仕事』で演じたマ・テオは、『イ・サン』のときの思慮深いイ・サンとはかなり違う人物設定であった。わかりやすく言えば、名君イ・サンが芸能事務所に入ったら優柔不断な業界人になってしまった、という感じなのだ。

『イ・サン』の15年後に『エージェントなお仕事』に出演したイ・ソジン

近づきやすい雰囲気

とはいえ、冴えない上司を演じるときのイ・ソジンも、どこか人間味があって決して悪くない。むしろ、名君のように立派すぎないほうが生身の温かさが感じられて、近づきやすい雰囲気を持っていた。

もちろん、職種によって人格も変わってくる。それは当然のことだ。それでも、部下が気軽に相談できるのは、案外、名君イ・サンより理事マ・テオのほうかもしれない。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

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