映画『ソウルの春』で主演を務めたファン・ジョンミンとチョン・ウソン、オファーを受けた2人の態度は対照的だった。
【インタビュー前編】「銃声が聞こえて…」『ソウルの春』監督の告白
映画『ソウルの春』を手がけたキム・ソンス監督は、なぜあえて「粛軍クーデター(12.12軍事反乱)」を題材にしたのだろうか。多くの人が知っている事件のため、今更映像化をする必要があるのかという質問が出てきそうだ。
「欲望についての物語を作りたかった。この事件はこの日だけの出来事ではありません。私がこの年になるまでにたくさんの人間の欲望を目の当たりにしてきました。私たちの生活にも欲望が蔓延っています。勝者の間でも疑って、心配して、怖がって…。そんなことの繰り返しだと思います。今後、韓国にも様々な争いがあるだろうし、決定的な判断をしなければなりません。“すべての出来事が必ずしも善意と知恵で成し遂げられるわけではない”という警鐘を鳴らしたかったのです」
劇中、ファン・ジョンミンとチョン・ウソンの緊迫の演技がぶつかり合う。チョン・ドゥグァンに扮したファン・ジョンミンは妙な魅力を盛り込んでいる。実在の人物と似ているようで似てないようにも見える境界線でそびえ立つ。普段から安定的な演技で有名だが、ルックスを完全に変えて登場した本作は彼の演技人生の新しいターニングポイントになるだろう。
「映画『アシュラ』(2016年)を撮りながらジョンミンさんの演技力に本当に感心しました。そして演劇『リチャード三世』を見ました。シェイクスピアが書いた人物の中で最も邪悪で内面が歪んだ人物をかっこよく演じていました。このプロジェクトを準備している時にお会いする機会があり、その時お願いしました。当然悩むだろうなと思っていましたが、1秒で承諾してくれました」
チョン・ウソンは最後まで己の正義を貫きながら欲望に満ちた軍人たちと対峙する。
先立ってチョン・ウソンは映画『ハント』でキム・ジョンド役を演じ、新軍部勢力と争ったことがある。『ハント』で演じた役柄と似通った部分があるという理由でチョン・ウソンは今回のオファーを何度も断ったという。
「やらないって言ってたのですが、私が粘り強くオファーしてたら結局引き受けてくれたんですよ。まっすぐな信念を持った軍人、この役にチョン・ウソンほど合う俳優はいませんよ」
映画を見ていると、人物の魅力はむしろ新軍部に注がれる。欲望をありのまま表現して走る姿が、もしかしたら観客の本音に触れるかもしれない。バカまじめで頑固なイ・テシンより本能に忠実なチョン・ドゥグァンがむしろ人間的なのかもしれない。
「もちろんそういうこともあります。かっこいい悪党は私が心配した部分でもあります。それでも大前提は軍人の銃口が誰に向けられているのかということです。軍人は我が国のために戦わなければならないという大前提を守らなければなりません。個人の欲望と栄誉のためになってはいけないのです。イ・テシンがバカまじめに見えても彼は私利私欲のために動かない。それが本当の軍人だと思います」
映画『ソウルの春』は11月22日、韓国で封切りする。(了)
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