テレビ東京の韓流プレミアで放送中の『赤い袖先』。いよいよ終盤に入ってきてイ・ジュノが演じるイ・サンとイ・セヨンが扮するソン・ドギムの「究極の愛」がとても気になるが、10月2日にオンエアされた第22話では予想外の展開となった。というのは、ソン・ドギムが王宮を出てしまうという事態になってしまったのだ。
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ことの発端は、多くの宮女が行方不明になったことだ。犯人はカン・フンが演じるホン・ドンノであり、彼は妹の元嬪(ウォンビン)の死の原因が王妃にあると勝手に勘違いをして、宮女を巻き込んで仕返しをしようと企んだ。
その陰謀はイ・サンによって無事に解決したのだが、ソン・ドギムが行方不明になった親友のギョンヒを助けたくて大妃(テビ)の力を借りようとしたことがイ・サンの逆鱗(げきりん)に触れてしまった。
その際、ソン・ドギムは「これまでお慕いしたことがありませんし、これからもありません」とイ・サンに対して強い口調で言ってしまった。それは、本心ではなかったのだが、自立心が強いソン・ドギムであれば、宮女の尊厳を守るために言わなければならない言葉であったかもしれない。
しかし、結果的にイ・サンをさらに激怒させることになり、ソン・ドギムはイ・サンから「王宮を去れ。二度と余の前に現れるな」と厳命されてしまった。
国王に命令されたら仕方がない。ソン・ドギムは言われた通りに王宮を出ていくことになった。最後に王宮に向かって丁寧にチョル(正式なお辞儀)をするソン・ドギム。惜別の気持ちが如実に表れた名場面であった。
それから1年後。ソン・ドギムは筆写の技術を生かしてたくましく生活していた。出入りしているチョンヨン公主の屋敷でソン・ドギムは、たまたま立ち寄ったイ・サンと再会を果たすが、2人のわだかまりは消えていなかった。ソン・ドギムが素直に詫びを入れれば王宮に戻れるのに、彼女はそうしなかった。つくづく、自分の信念に忠実に生きる女性だと思える。
身分の違いが強烈だった朝鮮王朝時代、ソン・ドギムのように自立心が強いと極端に生きづらいと思えるが、それこそがソン・ドギムの真骨頂であった。「たとえ国王でも黙って従属しない」という芯の強さが時代の閉塞感を超えていくソン・ドギムの大きな魅力かもしれない。
文=大地 康
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