テレビ東京の韓流プレミアで放送中の『赤い袖先』。9月25日の第17話は、本当に見応えがあった。緊迫した場面が続いて手に汗を握る展開だったと言ってもいい。特に、歴史的に名高い金縢之詞(クムドゥンジサ)がドラマの中で大きく扱われて印象的だった。
この金縢之詞というのは、朝鮮王朝第21代王・英祖(ヨンジョ)の命令で米びつに閉じ込められた思悼世子(サドセジャ)が父である英祖と交わした約束が記された文書のことだ。それはイ・サンを王位に就かせることを証明した文書であり、直接英祖が自分で書いて玉璽を押していた。その金縢之詞の存在はソン・ドギムの言葉によって思い出され、英祖自身がその文書を改めて確認した。
こうして思悼世子と結んだ約束を思い出した英祖は玉璽をイ・サンに渡した。つまり、イ・サンは完全に英祖から政治を託されて、玉璽も東宮に保管されることになったのである。
このことが第17話で明確に描かれていたが、最初の展開でイ・サンはピンチの連続であった。英祖は昔のことを思い出せなくなっており、さらにイ・サンを思悼世子と勘違いしていた。
悲しんだイ・サンは命を懸けて自分が思悼世子でないことを英祖に知らしめた。そうしたイ・サンの迫力に押されて、英祖は自分が人違いをしていたことを悟り、「頭が痛い」と途方に暮れてしまった。
この一連のシーンの中で英祖を演じたイ・ドクファとイ・サンに扮したイ・ジュノの競演が本当に白熱していた。経験豊富なイ・ドクファはさすがと言える老練な演技を見せていたが、それに対してイ・ジュノも一歩も引かぬ強い意志で名演技を披露した。まさに、ハラハラさせられるような名場面の連続だった。
それ以後もイ・ドクファはイ・ジュノの演技を絶賛していた。そうした言葉をもらってイ・ジュノも大きな励みを受けたことは間違いない。なんといっても、重鎮俳優の言葉はそれほど重く、意味が深いのである。イ・ジュノにとっては最高の感激であったことだろう。
文=大地 康
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