テレビ東京の韓流プレミアで放送されている『イ・サン』。8月30日に放送された第76話でついに長い闘いが決着した。イ・サン(イ・ソジン)にとって最大の政敵であった貞純(チョンスン)王后が完全に処罰されて、取り巻きの高官たちも斬首された。
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思えば、貞純王后はイ・サンの父・思悼世子(サドセジャ)を陥れた張本人の一人だった。英祖(ヨンジョ)の二番目の正室だった貞純王后は思悼世子の良からぬ話を英祖に告げ口して、親子の仲が断絶するきっかけを作った。そうして思悼世子は米びつに閉じ込められて餓死したのだった。
その事実をイ・サンはよく承知していた。それゆえ、彼は即位した時に貞純王后を厳罰に処して、二度と立ち直れないようにするつもりであった。しかし、血がつながっていないとはいえ、貞純王后はイ・サンの祖母に該当する。
儒教思想が色濃く残っていた朝鮮王朝において、孫が祖母を処罰するということは本来ありえないことだ。それゆえ、イ・サンも躊躇することがあり、貞純王后を完全に処罰することができずに謹慎処分にした。つまり、貞純王后には生き残る道があったのだ。
それをいいことに彼女は再び政治の表舞台に出て行く野心を持ち、取り巻きの高官たちを使ってイ・サンの息の根を止めようとした。
そうした戦いがトラマ『イ・サン』の後半でもずっと続いていた。しかし、最後は貞純王后の完全な敗北であった。イ・サンの暗殺を狙ったが、それに失敗し、取り巻きの高官たちも全員捕らえられて打ち首となった。
けれど、イ・サンとしても貞純王后を殺すわけにはいかない。代わりに、政治的に完全な息の根を止めて質素な離れで過ごすという処置にした。プライドが高い貞純王后にとって、それは死ぬことよりも辛いことだったかもしれない。貞純王后は常に『イ・サン』において誇り高い姿を見せていたが、最後になって自分の哀れな姿に号泣した。それこそがイ・サンが一番願っていたことかもしれない。
文=大地 康
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