ドラマ『イ・サン』はクライマックスに向けて悲しいことが連続して起こっている。それは、ようやくイ・サン(イ・ソジン)が後継ぎを決めて安堵した矢先だった。世子(セジャ)が幼くして亡くなってしまったのだ。誰もが待ち望んだ待望の世子だっただけに、その悲しみはあまりにも大きかった。
【関連】『イ・サン』の恋人ソンヨンの正体…ナゾ多き「魔性の女」?
特にソン・ソンヨン(ハン・ジミン)は悲しみを癒すことができなかった。彼女は正一品の栄誉を受けて宜嬪・成氏(ウィビン・ソンシ)と称されるようになっていたが、息子を失った痛手から立ち直れなかった。
さらに、彼女は肝臓を患ってしまった。主治医に見せると病状が発覚してしまうので、ソンヨンはパク・テス(イ・ジョンス)に頼んで町の名医を呼んでもらった。その診察は自分が予想したように肝臓の病気であった。
しかし、薬を飲むとお腹の子供に影響する可能性が高かった。彼女は妊娠していたのである。それゆえ、薬を飲まないという決断をした。それによって病状はさらに悪化してしまった。
ソンヨンはイ・サンに隠したまま転地療法に向かおうとしたのだが、事情をすべて把握したパク・テスがイ・サンに報告し、結局はソンヨンが王宮に戻されてしまった。そして、イ・サンは国中の名医を召集させてソンヨンの治療に当たらせた。それでもソンヨンは薬を飲もうとはしなかった。たまらずイ・サンが直接薬を持ってソンヨンを説得に向かった。
イ・サンも必死だった。たとえ妊娠した子供を失っても、ソンヨンに生きていてほしかった。それにもかかわらず、ソンヨンの決意は堅かった。彼女は何が何でも妊娠した子供を失いたくなかったのだ。その気持ちは痛いほどわかる。
しかし、イ・サンにしてみたら一番愛するソンヨンを失うわけにはいかなかった。彼は「ソンヨンなくして一日たりとも生きていけぬ」とソンヨンに重ねて懇願した。その気持ちは痛いほどよくわかる。こうした場面はまさに涙なくしては絶対に見ることができなかった。
文=大地 康
前へ
次へ