最近の韓国ドラマといえば、美男美女が織りなすラブコメや奇抜な設定のファンタジー物語が人気だが、本領発揮の王道ドラマとしては「緊迫感100%」のゾクゾク系がはずせない……というわけで、見るのがコワそうだけど絶対に面白い5本を選んでみた。脚本が素晴らしいので最後までストーリーに没入できる。
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●ランキング5位/『シスターズ』
放送年/2022年
放送局/tvN
出演者(役名)/キム・ゴウン(オ・インジュ)、ナム・ジヒョン(オ・インギョン)、パク・ジフ(オ・イネ)、カン・フン(ハ・ジョンホ)
物語の中心になるのは、貧しい家庭の三姉妹。長女のインジュは建設会社で経理担当。二女のインギョンはテレビ局の報道記者。三女のイネは絵画が上手な高校生。この3人が、インジュが関わった不正経理事件を契機に巨大な陰謀の闇に吸い込まれていく。
恐ろしいのは、ソウル市長選挙戦に意欲を示す「謎めいた夫婦」の周囲で奇怪な事件が次々に起こること。その中で三姉妹が徐々に巻き込まれていくプロセスが不気味だ。とはいえ、一番ゾッとするのは毎回過呼吸になるほど緊迫するキム・ゴウンの悶絶表情かも。見ていても緊張感が凄まじい。
●ランキング4位/『未成年裁判』
放送年/2022年
配信/Netflix
出演者(役名)/キム・ヘス(シム・ウンソク)、キム・ムヨル(チャ・テジュ)、イ・ソンミン(カン・ウォンジュン)、イ・ジョンウン(ナ・グニ)
緊迫した演技をさせたらキム・ヘスの右に出る女優はいないのではないか。直感でそう思うほど彼女の迫力はハンパない。そんなキム・ヘスが扮するのは、未成年が犯した犯罪を裁く地裁の判事ウンソク。誰とも迎合せず孤高の雰囲気を漂わせながら犯罪そのものを嫌悪していく。
同僚は人情家の判事でまさに好対照。その対比がドラマを引き締める。やっかいなのは俗っぽい上司。出世しか考えていない。その上司に邪魔されながらウンソクは「仕事の鬼」となって特殊な事件に挑んでいく。加害者と被害者の双方から多角的に描くストーリーが秀逸だ。
●ランキン3位/『王になった男』
放送年/2019年
放送局/tvN
出演者(役名)/ヨ・ジング(ハソン/イ・ホン)、イ・セヨン(ユ・ソウン)、キム・サンギョン(イ・ギュ)、クォン・ヘヒョ(シン・チス)
子役出身ながら怪物級の俳優に成長したヨ・ジングの真骨頂が存分に生きている。彼が演じるのは国王イ・ホンと道化師ハソンの2役。国王にそっくりなハソンが影武者になってから、ドラマは凄まじい緊張感に包まれる。
それは、国王の精神が破綻していく中でハソンが完璧に国王になりきっていくからだ。そして、中盤に象徴的なシーンが登場する。国王の存在そのものが抹殺されようとしていくのだ。以来、ハソンはどう変貌していくのか。そこが一番の見どころであり、王妃とのせめぎあいもスリル満点だった。
●ランキング2位/『悪の花』
放送年/2020年
放送局/tvN
出演者(役名)/イ・ジュンギ(ペク・ヒソン)、ムン・チェウォン(チャ・ジウォン)、チャン・ヒジン(ト・ヘス)、ソ・ヒョヌ(キム・ムジン)
「14年間も愛し続けた夫がもしも殺人鬼だったら?」。家庭にいてこれほど恐ろしいシチュエーションはない。日常をだまして平凡な人生を送っている男が、実は平凡とは一番遠いところにいるという恐怖がドラマ全体を支配している。しかも、男の過去を暴こうとするのが、刑事をしている妻なのだ。娘もいて幸せな日々が、果たしていつ破綻するのか。忍び寄る影が不気味だ。
人間の奥底の心理を暴く展開が見事。確かに「イ・ジュンギの主演ドラマにはハズレがない」ということを立派に証明してくれた。
●ランキング1位『ザ・グローリー~輝かしき復讐~』
制作年/2022~2023年
配信/Netflix
出演者(役名)/ソン・ヘギョ(ムン・ドンウン)、イ・ドヒョン(チュ・ヨジョン)、イム・ジヨン(パク・ヨンジン)、パク・ソンフン(チョン・ジェジュン)、ヨム・ヘラン(カン・ヒョンナム)
高校時代に壮絶なイジメを受けたヒロインが、憎き同級生たち(女3人と男1人)に用意周到な復讐を仕掛けていくドラマ。単純ではない。ストーリーが何層にも積み重なっている。不気味なのは復讐を始めるまでの18年間にすべての仕掛けを終えていること。小学校の教師になり囲碁の達人になり仲間のネットワークを築いていく。
そのうえで、標的の4人が一番嫌がる方法で復讐を続けている。過去にも韓国ドラマの世界には数多くの復讐物語があったが、登場人物を極限まで描き切った構成力は恐ろしいほどにナンバーワンだ。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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