数多くのドラマが日夜つくられている中で、『コクドゥの季節』という波瀾万丈の作品が見せてくれる世界観とは何なのか。
「涙の悲恋」という普遍的な寓話から始まり、神の領域から地上に使者が舞い降りるというミッションで物語が動き、地上で善悪と愛憎が交差して究極的な運命論が展開される……。そこに『コクドゥの季節』の真骨頂がある。
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テーマパークでアトラクションを楽しむ感覚で研ぎ澄まされたストーリー性を堪能していれば、今まで経験したことがないような「不思議な快感」にやみつきになる。『コクドゥの季節』はそんなスタイルのドラマなのである。
何よりも、冒頭のエピソードが特に大切だ。
「遠い昔、令嬢ソリ(イム・スヒャン)は政略結婚をさせられて愛する武士オ・ヒョン(キム・ジョンヒョン)と引き離された。オ・ヒョンは死んでしまい、ソリも自害する」
ここがすべての始まり。しかし、オ・ヒョンは完全には死んでいなかった。未練が強すぎたからだ。
死後の世界でもソリを待ち続けているオ・ヒョンに対して神が激怒し、彼は死神のコクドゥにされてしまう。
このコクドゥは99年に1回天罰を下す役割を持っている。その呪いを解くのが難題だった。生まれ変わったソリから愛の言葉を受けることが必要だったからだ。
こうしてコクドゥの新たなチャレンジが始まる。
一転して地上の世界が展開されて、地方病院で働く女医ハン・ケジョルの苦難の日々がクローズアップされる。医療問題で告訴されたりソウルに出ても病院に勤められなくなったり……。
そんな自分を導いてくれたのが優秀な医師のト・ジヌだった。しかし、彼の魂はコクドゥに乗っ取られていた。その挙句にト・ジヌは殺される。
とはいえ、コクドゥがいるかぎり、ト・ジヌの肉体は滅びない。コクドゥには大切なミッションがあり、ト・ジヌの肉体が絶対に必要だからだ。そして、コクドゥはケジョルこそがソリの生まれ変わりであることに気づいていく……。
こうした流れで時空を超えたファンタジー・ロマンスが展開されていくのだが、「悪の権現」が2人の前に立ちはだかる。それが、キム・ピルス(チェ・グァンイル)だ。
この男は、どんなに汚い手を使ってでも新薬の開発を手掛けて巨万の富を得ようとしている。表の顔はピルソン病院の理事長だが、裏の顔は巨悪の総本山なのである。
キム・ピルスは法律を巧みにすり抜けて悪事を重ねていくが、天罰を下す力がコクドゥにあるのかどうか。そこも『コクドゥの季節』の重要なテーマになっている。
かくして、前世の普遍的な悲恋から現世での巨悪との闘いまで、『コクドゥの季節』は縦横無尽な世界観を披露していく。
とはいえ、根底にあるのは美しいラブロマンスだ。そこが一番の見どころであり、キム・ジョンヒョンとイム・スヒャンの演技力がドラマを大きく支えている。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
☆ドラマ情報
『コクドゥの季節』
演出:ペク・スチャン/キム・ジフン
脚本:カン・イホン/ホ・ジュンウ
出演:キム・ジョンヒョン、イム・スヒャン、アン・ウヨン、キム・ダソム、キム・イングォン、チャ・ヨンファなど。
☆2023年7月5日(水)よりU-NEXTにて独占先行配信開始!
DVD-SET1 2023年9月6日(水)発売
DVD-SET2 2023年10月6日(金)発売
各16,720円(税抜15,200円)
※2023年9月6日(水)レンタルDVDリリース開始
■【写真】キム・ジョンヒョンが震える声で…『コクドゥの季節』制作発表会の様子
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