韓国ドラマでは「単純に泣ける」というより、「感情を激しく揺さぶられて泣ける」という作品がいくつもある。そうした傑作は、喜怒哀楽を明確にする国民性がよく反映されている。そんな中から、号泣必至の人間ドラマを3本選んでみた。どこが泣けるのか。号泣ポイントを中心に解説していこう。
【写真】女優IUが『麗<レイ>』と『マイ・ディア・ミスター』で見せた真骨頂
①『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』
放送年/2016~2017年
放送局/tvN
演出/イ・ウンボク
脚本/キム・ウンスク
出演者(役名)/コン・ユ(キム・シン)、キム・ゴウン(チ・ウンタク)、イ・ドンウク(死神)、ユ・インナ(サニー)
〔号泣ポイント〕高麗時代の武将であったキム・シンは国王に裏切られてしまった。彼は胸に剣を刺したままずっと900年以上もさまようのだが、そんな彼の剣を抜いてくれるのが「トッケビの花嫁」であった。
それが女子高校生のウンタクで、謎めいたトッケビと活発な高校生の不思議な物語が始まっていくが、象徴的に描かれるのが人間の生死だ。特に後半に入ってキム・シンの運命がどんどん変わっていくところが秀逸であり、そこが一番の号泣ポイントだった。
②『私たちのブルース』
放送年/2022年
放送局/tvN
演出/キム・ギュテ
脚本/ノ・ヒギョン
出演者(役名)/イ・ビョンホン(イ・ドンソク)、シン・ミナ(ミン・ソナ)、イ・ジョンウン(チョン・ウニ)、ハン・ジミン(イ・ヨンオク)
〔号泣ポイント〕済州島(チェジュド)を舞台にして様々な人生をオムニバス形式で描いたヒューマンドラマ。次々に出てくる登場人物はみんな人間味があって、人生の機微をたっぷりと見せてくれる。
特にイ・ビョンホンが演じるドンソクと母親の愛憎物語が本当にすごかった。憎み続けた母親をドンソクがどのように許すのか。そして、その結末は? 終盤は涙腺が崩壊した視聴者が多かったことだろう。
③『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん』
放送年/2018年
放送局/tvN
演出/キム・ウォンソク
脚本/パク・ヘヨン
出演者(役名)/イ・ソンギュン(パク・ドンフン)、IU(イ・ジアン)、パク・ホサン(パク・サンフン)、ソン・セビョク(パク・ギフン)
〔号泣ポイント〕不遇な生活を続けていた若いジアンにとって、初めて救世主となってくれたのがおじさんのドンフンだった。彼は社内で左遷されていて、死んだような目で生きていた。
そんなドンフンとジアンが会社の派閥抗争に巻き込まれながら人間的な触れ合いを重ねていく。本当にパク・ヘヨンの脚本が素晴らしく、随所に泣けるポイントがあるが、特に終盤の展開は韓国ドラマ史上に残るほどの大傑作であった。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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