『ベイビー・ブローカー』『コネクト』など、増えている“日韓合作プロジェクト”の可能性

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ドラマ『愛の不時着』を世界的にヒットさせた韓国のコンテンツ制作会社「スタジオドラゴン(STUDIO DRAGON)」。

2022年は日本法人「スタジオドラゴンジャパン」も設立した同社と、『悪の教典』などの作品で知られる日本映画界の巨匠・三池崇史監督がタッグを組んだDisney+オリジナルシリーズ『コネクト』が話題だ。Disney+オリジナル作品として2022年12月7日より全6話一挙独占配信中だ。

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主演を務めたのは『D.P. -脱走兵追跡官-』や『スノードロップ』で話題を集めた俳優チョン・ヘイン。「三池監督が演出を手がける」と聞いて出演を即決したという彼が、“コネクト”という名の不死身の新人類役を好演している。

韓国の人気ウェブ漫画を原作に、脚本は日本人のNAKA雅MURA(なかむらまさる)と韓国人のホ・ダムが担当した。出演キャストをはじめ、撮影監督らスタッフのほとんどが韓国人だったようだが、しっかりと三池崇史ワールド炸裂の仕上がりになっているから驚きだ。

(画像=Disney+『コネクト』韓国版ポスター)

この“奇跡の日韓合作プロジェクト”は、コロナ禍でビデオ会議を重ねながら準備したものだという。「最初は『愛の不時着2』の演出を任されるのかと思った」とは、完成披露記者会見で三池監督が放ったジョークだが、言葉の壁に加えて物理的に距離も離れているので、不安要素の多いプロジェクトだったはず。

しかし、「何があっても監督の味方だ」と言うチョン・ヘインの絶大な信頼や、スタッフや機材などの惜しみない支援があったためか、三池監督は「むしろ日本でやっているよりもストレスなく、スムーズに撮影できた」「『コネクト』を通じて大きく跳躍した感じだ」と満足の様子だった。

日韓合作プロジェクトといえば、2022年6月に公開された映画『ベイビー・ブローカー』を思い浮かべた人も多いだろう。映画『万引き家族』で第75回カンヌ国際映画祭のパルムドールを受賞した是枝裕和監督が脚本・演出・編集を務めたが、100%韓国の資本と制作システムで成り立った珍しい作品だった。

(画像=映画『ベイビー・ブローカー』韓国版ポスター)

池松壮亮、チェ・ヒソ、オダギリジョーが主演した石井裕也監督の映画『アジアの天使』(2021年)や、田中俊介と少女時代のスヨンが主演した映画『デッドエンドの思い出』(2019年)など、以前からも日韓合作と言える作品は存在しているが、『ベイビー・ブローカー』や『コネクト』は、その可能性を改めて示した作品とも言えるだろう。

単なる俳優たちの日韓進出やリメイク制作ではなく、日韓のスタッフが協力して一つの作品を作る。一段と発展を遂げたこの動きは、今後も増えることだろう。というのも、動画配信サービスの拡大によるコンテンツの制作・供給は増えているし、日本と韓国の“良いとこ取り”のメリットも軽視できないからだ。

それなら、日本と韓国の“良いとこ”は一体何か。次に紹介する2人のコメントに、そのヒントがあるかもしれない。まず、三池監督は『コネクト』の撮影について次のように語った。

三池崇史監督(写真提供=OSEN)

「韓国の作品を見ながら、なぜ韓国の俳優は日本の俳優たちと違うのか? と思っていた。今回一緒に撮影をしながら感じたのは、根本的に情熱が違うということだ。本当に情熱的だと思った。人間が持つパワーってすごく強いんだなと思った」(2022年11月開催「2022ディズニー・コンテンツ・ショーケース」より)

また、『ベイビー・ブローカー』に出演した女優イ・ジウン(=IU)は、是枝監督が率いる撮影現場をこう振り返っている。

「天気やロケーションによって撮影のコンテが変わったけど、驚くことに、全体のスケジュール的には寸分の狂いもなく決まった期限どおりに撮影が終わった。あまりにも不思議で先輩俳優やスタッフさんに聞くと、この現場をデフォルトだと思って他の現場に行ってはいけないと言われた」(韓国の映画専門雑誌『CINE21』より)

はたして、国境を越えて情熱や想像力が融合された日韓合作作品に、世界が熱狂する日はいつか。その行方にビジネスパーソンも注目すべきだ。

文=李 ハナ

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