イ・セヨンが『赤い袖先』でヒロインにキャスティングされたことは、このドラマがイ・サンに愛された伝説的な宮女を描くうえで最適な選択だった。
そう思う根拠は、彼女が『王になった男』で演じた王妃の役があまりに印象的だったからだ。
同ドラマではヨ・ジングが国王と道化師の1人2役に扮して讃えられたが、同じように「国王に愛されなかった王妃」の悲哀を演じて絶賛されたのが、イ・セヨンの演技力であった。
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「イ・セヨンならば、宮女の哀しみを巧みに表現してくれる」。そう期待していたら、まさにその通りの結果をイ・セヨンが出してくれた。
実際、チョン・ジイン監督が『赤い袖先』のキャスティングで最初に思い浮かんだのが、イ・セヨンの起用だったという。それが成功した段階で、このドラマは傑作への道を歩み始めた。
しかも、撮影が始まってから、イ・サンを演じるジュノ(2PM)と宮女に扮するイ・セヨンの相性がとても良かった。いわば、『赤い袖先』を彩る名場面の数々は、2人の「あうんの呼吸」で生み出されたものだった。
その中でも、イ・セヨンは宮女ソン・ドギムを「意志が強い自立的な女性」として演じきった。この「自立」に大きな意味がある。
歴史的に言うと、ソン・ドギムは宮女という身分のままにイ・サンに二度まで求愛された女性だ。常識を考えれば、世孫(セソン/国王の後継者となる孫)に求愛された時点で側室にならざるを得ない立場である。
しかし、ソン・ドギムは応じなかった。