韓国の現代史において、1997年は特別な意味を持っている。この年は、韓国が破産寸前に追い込まれた「経済危機の年」として、多くの国民が鮮烈に覚えている。なにしろ、韓国はIMF(国際通貨基金)に多額の借金をして、ようやく国家的な破産を免れることができたのだ。
【写真】【究極の名場面ランキング】『二十五、二十一』を彩る名シーンのベスト5は?
しかし、代償は大きかった。街中に失業者があふれ、国中が深く沈んだ。
そんな1997年から25年が経った。振り返ってみると、この「1997年」をキーワードにして、二つの傑作ドラマが生まれている。
一つは『応答せよ1997』である。このドラマには、ズバリ1997年がタイトルに使われている。まさに、釜山(プサン)の高校生2人の1997年の日常が、ストーリーでしっかり描かれているのだ。
主役は、ソ・イングクとチョン・ウンジ。歌が抜群にうまい2人が幼なじみに扮して素晴らしいラブロマンスを展開していた。2人が話す釜山のなまりも本当に面白かった。結局、凄い人気を獲得し、以後も「応答せよ」シリーズが継続して作られることになった。しかも、すべて傑作揃いの三部作。韓国ドラマ史の金字塔と言ってもいい。
もう一つは、今年話題になった『二十五、二十一』だ。このドラマは、1997年の経済危機がまさに物語のキーワードになっていた。キム・テリが演じたナ・ヒドは、経済危機の影響で自分が所属していた高校のフェンシングがつぶされてしまう。
また、ナム・ジュヒョクが扮したペク・イジンも、裕福な家庭の御曹司だったのに、経済危機の影響で父親が破産し、一家離散に追い込まれてしまう。そんな苦境を乗り越えてペク・イジンは努力でニュースアンカーになるまで成長していく。
同じように、韓国という国も、突然の悪夢を克服して、その後の発展を実現させた。そういう意味で、今や「1997年」は思い出と共に振り返る余裕もできたのである。
もちろん、苦難の時期を舞台に二つの傑作が生まれたことは、韓国ドラマのファンにとってみれば「忘れられない記憶」であるに違いない。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
■【写真】ナム・ジュヒョクとキム・テリが『二十五、二十一』に出演した理由
前へ
次へ