時代劇『風と雲と雨』は歴史巨編として19世紀後半の時代背景をしっかり描いている。そうであるならば、ラストを迎える1870年代前半の朝鮮王朝はどんな状況になっていただろうか。
当時、高宗(コジョン)が即位しているといっても、政治の実権を握っていたのは父親の興宣大院君(フンソンデウォングン)だった。チョン・グァンリョルが演じている。
【写真】パク・シフは『風と雲と雨』で巨大な権力に逆らう主人公をどう演じたか
しかし、パク・ジョンヨンが扮している王妃は、義父の興宣大院君と政治的な主導権を争うようになった。彼女は義父を失脚させようと動き始めていた。
また、キム・ボヨンが扮している趙(チョ)大妃は、興宣大院君と協調して高宗の即位を成功させたが、その後に関係が悪くなって、犬猿の仲になっていた。
さらに、朝鮮王朝を悩ませていたのが、欧米列強が武力を背景に押し寄せてきていたことだ。それでも、興宣大院君は攘夷思想を堅守して開国を拒否していた。一方の王妃は開国を主張していた。こうして両者の主義主張は完全に対立した。こうした状況に陥っていたのが1870年代前半の情勢であった。
パク・シフが演じている主人公チェ・チョンジュンは、外国に住んだ経験もあって開化思想を持っている。攘夷思想で鎖国をしてはいけないという立場だ。
さらに、彼はスイスのような永世中立国をめざすべきだという信念を強固にしていた。しかし、最大の権力者であった興宣大院君は永世中立国というものをまったく理解することができない。彼は頑迷な保守主義者なのだ。よって、せっかく再び手を結びかけた興宣大院君とチェ・チョンジュンも、決定的な亀裂を覚悟しなければならなくなった。
こうした混迷の中で、いよいよ『風と雲と雨』はラストを迎えるようになるのだ。果たして、朝鮮王朝はどんな歴史をたどることになるのか。さらに、ドラマをリードしてきたチェ・チョンジュンはどんな運命にさらされるのか。
ますます緊迫していく結末に向けて、見ている人のドキドキ感もどんどん強くなっていくだろう。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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