『花郎(ファラン) 希望の勇者たち』が描いている時代は560年代である。その当時は、高句麗(コグリョ)、百済(ペクチェ)、新羅(シルラ)が三国時代を形成して激しく領土争いを繰り広げていた。
その中で、新羅は一番劣勢に立たされることが多かった。それを変えたのが、『花郎(ファラン) 希望の勇者たち』でパク・ヒョンシクが演じた真興王(チヌンワン)である。彼が非常に頑張って、徐々に新羅を強国に導いていった。
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それから100年ほど経った660年代になって、新羅は唐と連合して百済と高句麗を滅ぼし、ついに最初の統一王朝を築いていく。
その立役者になったのが、新羅の29代王・武烈王(ムヨルワン)であった。
この武烈王は、あの有名な善徳女王の甥であり、本名は金春秋(キム・チュンチュ)と言った。
彼は壮大な歴史ドラマの主人公になっている。それが、「国民俳優」のチェ・スジョンが主人公を演じた『大王の夢』だ。
当初、チェ・スジョンが武烈王を演じると発表されたとき、時代劇ファンは少なからず驚いた。なぜなら、その前にチェ・スジョンは『大祚榮 (テジョヨン)』に主演して、高句麗滅亡後に遺民となったテ・ジョヨンを演じていたからだ。
歴史的にいえば、テ・ジョヨンにとって武烈王は憎むべき敵であった。そんな「最大の敵」を今度は一転して演じるというのだから、「節操がない」というように感じる人がいたのも事実だ。
そのことはチェ・スジョンも十分に意識していたし、作品選択で悩んだことも確かだった。
それでも、彼は果敢に出演を決めた。それは、「俳優はそのときに与えられた役に最善を尽くすのが本分!」という心境に至ったからだ。
つまり、彼には明確な「覚悟」が備わっていたのだ。
こうしてチェ・スジョンは武烈王になって、新羅最高の大王を堂々と演じきった。
振り返ってみれば、新羅の最高の国王といえば、真興王、善徳女王、武烈王である。この3人がドラマを通して華々しい活躍を見せて、新羅という国の栄光の歴史が現代にも広く伝わっているのだ。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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