韓国で『宮廷女官 チャングムの誓い』が放送されたのは2003年から2004年だった。
放送当時、韓国の食堂に入って『宮廷女官 チャングムの誓い』がたまたまオンエアされていると、店員のアジュンマ(おばさん)がテレビに夢中になりすぎて注文をまったく取りに来てもらえなかったことを思い出す。
そんな社会現象を巻き起こすほど爆発的な人気だった。
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とにかく、ストーリーが抜群に面白かったし、ヒロインのイ・ヨンエがとても美しかったし、登場する料理が本当に美味しく見えて興味をそそられた。
そんな魅力満載のドラマだけに、韓国の歴史をよく知らない日本の視聴者にも普遍的に受け入れられて、今に至るまで人気を維持している。そして、今回もBS日テレで8月18日から、月曜日から金曜日までの集中放送形式でオンエアされることになった。
それにしても、こんなにも繰り返し再放送されるものなのか。
もちろん、今さら説明が要らないほどの傑作であることは間違いない。
イ・ヨンエが演じる女官のチャングムは、ドラマの前半と後半でまるで違う人生を歩むことになる。
前半は王宮の中で王族の料理を担当する女官だ。天才的な味覚のセンスを持ち、創意工夫で王族の食生活を豊かに支えていく。しかし、女官内部の闘争の犠牲になり、陰謀にはめられて済州島(チェジュド)に流罪になってしまう。
本来ならここで人生は終わるのだが、チャングムは不屈の闘志で甦る。済州島で医術を学び、卓越した医女として王宮に帰ってきて、再び王族につかえるになるのだ。
こうしてドラマの後半は、料理に代わって医術が題材となり、チャングムは深い知識と探求心で能力を存分に発揮して数々の命を救っていく。このあたりの展開は本当にスリリングで、ワクワクするような面白さに満ちている。
このチャングムは16世紀前半に実在した人物だが、彼女の職業は医女であり料理人ではなかった。つまり、ドラマの前半部分はフィクションであり、後半の彼女の姿こそが史実に近かった。そんな歴史上の人物を全54話で存分に生き生きと描いたのだから、「時代劇の巨匠」と称されるイ・ビョンフン監督の卓越した手腕はさすがである。
そのことを感じながら、BS日テレで始まった『チャングム』の物語を大いに楽しもう。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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