ナム・ジヒョンは本当に笑顔が爽やかな女優だ。そのことを実感したのが、『100日の郎君様』でド・ギョンスと共演したときだった。
このドラマでは、ド・ギョンスが王族のイ・ユルに扮していたが、ナム・ジヒョンは良家の令嬢を演じることになっていた。
しかし、父が悪徳高官に殺害され、自分も身を隠さなければならなくなった。その末に、田舎でホンシムという娘として生き抜いていった。
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こういう境遇なら、ネクラな冴えない女性になってしまっても不思議はないのに、ナム・ジヒョンが演じたホンシムはやたらと明るい。
そのうち、イ・ユルが命を狙われて記憶喪失者として村にやってくる。事情を理解できない彼はホンシムと偽装結婚をすることになるというのが『100日の郎君様』のメインストーリーだった。
イ・ユルはウォンドゥクという偽名になっていたが、元は王族なので働くことを知らない。それなのに、高価なものをたくさん買い込んでしまって借金を作ってしまう。妻になっているホンシムは怒りが頂点に達した。
それなのに、彼女にはギスギスしたところがない。農民の妻として「かかあ天下」になっていたが、いつも笑顔を絶やさない。しかも、夫を叱咤激励して立ち直らせていく。
まさに理想的な女性がホンシムだった。そんなキャラクターを演じていたナム・ジヒョンが女優として本当にいい味を出していた。
彼女は子役から活躍していて経験が豊富なので演技力はピカイチだ。繊細な演技に集中するときの表情は隙がないほど。といって、緊張感に包まれているわけではない。
天性の表現力があるので、明るいときは底抜けの快活さを表すことができる。そうした演技力のおかげで、『100日の郎君様』は朝鮮王朝時代の抒情的なラブロマンスをスッキリした雰囲気で繰り広げることができた。しかも、ド・ギョンスとナム・ジヒョンの相性の良さも十分に感じられて、ドラマは楽しい展開に包まれていた。
後半に入ると、ウォンドゥクも本来のイ・ユルになって王宮に戻って緊迫した対決を迎えるのだが、少なくとも前半で田舎の夫婦を演じたド・ギョンスとナム・ジヒョンは最高に愉快な夫婦像を見せてくれた。
こうして『100日の郎君様』で印象的な演技を披露したナム・ジヒョンは、現在は『魔女食堂に来てください』に出演中だ。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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