『ヘチ』の転換点か。世弟=セジェはなぜ国の現実を嘆くのか

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NHKで日曜日に放送されている『ヘチ 王座への道』は、4月18日の放送で第10話を迎えた。物語は中盤にさしかかっており、ますます面白くなってきている。

この10話では、貧しい子供たちが主人を殺してしまうという悲惨な状況が描かれている。清国に売られそうになったり、あまりに不当な扱いを受けたり、どうしても許せない事情で子供たちが殺人をおかしてしまう。その現実を世弟(セジェ)である延礽君(ヨニングン)が知ってしまうのだ。

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それは、なんと悲しく辛いことであろうか。

本来なら、国の未来を築いていくはずの子供たちが、殺人までしてしまうというのは、いかにこの国が民衆を見殺しにしているかということの証明でもあった。

チョン・イルが『ヘチ』で演じた延礽君(韓国SBS『ヘチ 王座への道』韓国ポスター)

名君としての器

延礽君はそういう現実をとても認めるわけにはいかなかった。

それは、王朝の権力者として民衆を導いていかなければならない王族に重大な責任があると延礽君は痛感した。そして、延礽君は悩み苦しむのであった。

しかも、世弟は「王の後継者になる弟」を意味しているので、立場の上からも延礽君は余計に責任を感じたのだった。

彼は異母兄の景宗(キョンジョン)にも現実を知らせ、国の将来をいかに立て直すかを相談した。そうした姿勢は、臣下の者たちにも影響を与えた。つまり、「世弟様は国を思う気持ちが本当に強く、そういう方であれば仮に王になられたときには心から民衆のための政治を行なってくれるのではないか」と大いなる期待を抱かせたのであった。

そういう意味でも、この10話は物語の転換点としても重要である。結局は、延礽君が王になる資質があるのかないのか。そのことが彼はずっと問われてきたのだが、子供たちの殺人事件を通して、延礽君の政治能力を試される局面になった。

果たして、チョン・イルが演じる延礽君は、名君としての器が備わっているのかどうか。物語はいよいよ「王座への道」をたどることになっていく。

文=康 熙奉(カン ヒボン)

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