韓国での初放送終了直後から続編待望論が絶えない『宮廷女官チャングムの誓い』。
2012年9月には韓国の民放テレビ局MBCが制作計画を発表し、2013年7月からの放送が目標と明らかにしたこともあったが、それも達成されなかった。
「2015年から制作開始」と表明したこともあったが、2014年6月に制作の無期限延期が発表されて以降はまったく白紙状態になっている。
制作計画が延期を重ねてきた原因についてはさまざまな憶測がある。
ひとつはイ・ビョンフン監督があまり乗り気ではないということだ。
イ・ビョンフン監督は2007年に『イ・サン』、2010年に『トンイ』、2012年に『馬医』と歴史的な人物に焦点を当てた作品を取り続けたが、2016年には架空の人物を主人公した『オクニョ 運命の女』を演出している。
『馬医』の制作発表時に「これ以上歴史人物を描くことはない」と発言したこともあるだけに、『オクニョ』はイ・ビョンフン監督の意志表明と受け止めることができ、必然的に歴史人物である『チャングム』の続編の可能性も頓挫したという説だ。
憶測はまだある。『チャングム』の脚本を書いたキム・ヨンヒョンとMBCの“不仲説”だ。『チャングム』の著作権を共同保有するキム・ヨンヒョン作家が続編についての議論から排除されていることを不快に感じていたという話だった。
ただ、これらの憶測は、少なくとも2014年6月の無期限延期の理由にはならない。2014年に入り、キム・ヨンヒョン作家が脚本を担当することが内定していたという説もある。
それでも続編が実現しなかった決定的な理由は、キャスティングにあったという説もある。イ・ヨンエが出演を断ったのではないかということだ。
そもそもMBCは当初から続編の主人公としてイ・ヨンエ一本に絞っていた。
イ・ビョンフン監督も以前、続編はチャングムが母親になったところから始まるとしながら、「イ・ヨンエでなければ『チャングム』続編を作る意味がない」と断言。イ・ヨンエの出演こそが続編実現の“大前提”だったのだ。
そんなラブコールを受けながらもイ・ヨンエは『チャングム』続編への出演に対して首を縦に振らなかった。その理由についてイ・ヨンエの所属事務所側は「一身上の理由」と明言を避けているが、イ・ヨンエは2012年にあるメディアとのインタビューでこんなことを語っている。
「(『チャングム』続編は世界で待望されているのだから)愛国心を前面に押し出して私に出演を勧める人もいましたが、儲けようとしてうまくいくものでもありません。『チャングム』をシーズン制で企画していたのなら話は別ですが、『チャングム』はそうではありません。制作ありきの作品、大作のための大作になってしまうなら作らない方がましだと思うのです」
イ・ヨンエが『チャングム』続編に乗り気ではなかったことは間違いないだろう。そんな彼女の決断によって“大前提”が崩れ、『チャングム』続編は結局、白紙になったのではないか。これが韓国のテレビ業界関係者たちの見方だ。
『チャングム』続編が無期限の制作白紙となって以降、イ・ビョンフン監督は『オクニョ』を制作し、イ・ヨンエは『師任堂、色の日記』で13年ぶりにドラマ復帰した。
結局、『チャングム』続編は幻に過ぎなかったのかもしれない。
構成=韓ドラ時代劇.com編集部
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