テレビ東京の韓流プレミアで放送されている『不滅の恋人』では、主役のチン・セヨンが名門一家の娘であるソン・ジャヒョンを演じた。
とはいえ、この役は「育ちのいいお嬢さん」という雰囲気がまるでない。苦難に次ぐ苦難が襲い掛かってくるからだ。そういう意味では、チン・セヨンは役のうえで波乱万丈な日々を過ごさなければならなかった。
ストーリーを見ると、ソン・ジャヒョンがひとえに愛する男性はイ・フィ(ウンソン大君)である。ユン・シユンが演じているが、このイ・フィはチュ・サンウクが扮するイ・ガンとことごとく対立する。
何よりも、二人は王子で兄弟という設定なのだが、王位を狙うイ・ガンが策略を弄して徹底的に弟のイ・フィを苦しめる。もう見ていても気の毒になるほどの仕打ちだった。
そんなイ・フィを愛するソン・ジャヒョンもまた、「これでもか」というほどに悲しみに打ちひしがれる。
それゆえ、ソン・ジャヒョンを演じるチン・セヨンは、涙もかれるような悲しみに連続して耐え忍んでいく。それも、世の中を恨んでも仕方がないような演技が続き、視聴者もハラハラしながら見ていたことだろう。
チン・セヨンはかつて『オクニョ 運命の女(ひと)』で主役を演じたときに、オクニョについて「しっかりした性格のキャラクターでした。そういう主人公に見えるように、いつも行動や目線を意識していました」と語っていた。
このように、彼女は演じる役に感情移入することが巧みだ。
そして、『不滅の恋人』についてチン・セヨンは「本当にソン・ジャヒョンというキャラクターが魅力的でした」と語っていた。
この「魅力的」という部分は、「本当に愛に生きた女性」だったという意味を表している。
実際、ソン・ジャヒョンはイ・フィを情熱的に愛し続けた。こんなに愛せる人に出会えることは、なんと幸せなのかと思えるほどだった。
『不滅の恋人』は韓国での原題が『大君、愛を描く』というのだが、まさにソン・ジャヒョンはこの原題にピッタリの女性であった。
そんな女性を演じたチン・セヨンの演技もとても良かった。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
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