テレビ東京の韓流プレミアで放送中の時代劇『トンイ』。9月3日に放送された第23話は、物語が大きくうねりを上げ、決定的な転換点を刻む回であった。
【関連】『トンイ』の主演女優たち、今何してる?4人の近況をまとめて紹介!
陰謀渦巻く宮廷を舞台に、トンイ(演者ハン・ヒョジュ)は内需司の追跡を振り切り、命を狙う刺客の刃をかわしながらも、ついに掴んだ決定的証拠を王・粛宗(演者チ・ジニ)へ届けようと決死の道を走り抜ける。だが無情にも放たれた手裏剣が胸を貫き、深紅の鮮血が衣を染める。死に直結する深い傷を負いながらも、彼女は足を止めぬ。
荒い息を吐き、よろめきながらも、血の跡を残して王のもとへと進む姿は、見る者の心を震わせる烈々たる執念の結晶であった。
その頃、粛宗は宮廷を離れ、しばし狩猟に興じていた。しかし都を覆う煙が知らせる火災の報に心乱され、急ぎ駕籠を進める。その行く手に、命を削りながら這い寄るように歩むトンイの姿が現れる。
最後の力を振り絞り「王様」と叫ぶ声は、血に濡れた風のように響き渡り、駕籠は確かに止まった。その一声は果たして王の心に届いたのか、息詰まる瞬間が描かれる。
一方、裏ではチャン・ヒジェ(演者キム・ユソク)が巧みに策を巡らせ、火事の罪をトンイへ押し付けようと暗躍する。
さらに、張禧嬪(チャン・ヒビン/演者イ・ソヨン)の真実を探ろうとする従事官ソ・ヨンギ(演者チョン・ジニョン)も陥れようと、陰謀の網を広げる。宮廷全体を包み込む黒々とした闇は、トンイを支える者たちの希望を蝕み、次々と追い詰めていった。
チャ・チョンス(演者ペ・スビン)は必死にトンイを探し、ついにヒジェの屋敷へと乗り込む。「お前にとってトンイは何だ」と鋭く問われた彼は、迷うことなく「妹だ」と答える。
その一言には、血を超えた絆と、命をかけてでも守ろうとする決意が滲んでいた。
やがて粛宗の前に呼ばれたソ従事官は、仁顯王妃(イニョンワンフ/演者パク・ハソン)を追放した黒幕が張禧嬪であること、そしてトンイと仲間たちが命を削りながら証拠を求め続けていた事実を明らかにする。
信じていた者たちが、一言の相談もなく独自に行動していた衝撃に、粛宗は深く心を揺さぶられる。ソ従事官はトンイの苦悩を代弁し、王に真実を訴える。その言葉は重く王の胸に沈み込み、心を揺らした。
粛宗は自らの無力さを痛感しつつ、愛する張禧嬪のもとへ向かう。
王としての冷徹な責務と、1人の男としての熱い愛情。その板挟みに苦しみながら、彼の前に立ちはだかるのは逃れられぬ究極の選択であった。しかも2日後には、張禧嬪を中殿に任命する式典が迫っている。
命を賭して真実を伝えようとするトンイ。陰謀に翻弄される宮廷。そして愛と権力の狭間で揺れる粛宗。
すべての想いが鋭く交錯し、物語は新たな局面へと突き進む。刺客の影、愛憎の対立、王の葛藤が複雑に絡み合い、歴史の歯車は音を立てて大きく動き出そうとしているのである。
文=大地 康
■【関連】いま明かされる『トンイ』韓国放送時に世間を賑わせた「珍事件ベスト5」
前へ
次へ