イ・ビョンフン監督は、韓国時代劇の世界で燦然と輝くビッグネームである。2000年前後から傑作を次々に輩出した。特に、『ホジュン~宮廷医官への道~』(1999-2000年)と『宮廷女官 チャングムの誓い』(2003-2004年)の成功はまさに革命的であった。
『ホジュン 宮廷医官の道』は最高視聴率63.7%という時代劇歴代1位の大記録を樹立し、『宮廷女官 チャングムの誓い』も57.8%で3位に輝いた。これらは数字以上に、人々の心に深い感動を刻んだ。そして、監督の名声は、まるで尽きることのない泉のように広がり続けたのである。
そんな巨匠が次に挑んだのが『イ・サン』(2007-2008年)であった。22代王・正祖(チョンジョ)を主人公に据えたこの大作では、主演のイ・ソジンが苦難を抱えながらも名君へと成長する名君を熱演した。
その姿は力強くも温かく、視聴者は彼と共に涙し、共に歓喜した。物語の展開だけでなく、成長の歩みを実感させる演出の妙が光り、さすが名匠の手腕だと誰もが感心した。
さらにイ・ビョンフン監督は『イ・サン』の後に『トンイ』(2010年)を世に送り出した。主演に選ばれたのはハン・ヒョジュであった。
彼女はすでに人気女優の座に上り詰めていたが、大河時代劇の重責は若き彼女には大きな挑戦だった。しかし監督は、ハン・ヒョジュの明るく清らかな魅力こそ、逆境を超えていく主人公トンイの魂にふさわしいと直感した。
まだ23歳という若さで抜擢された彼女は、その期待を裏切ることなく、嵐のような試練を乗り越えていく姿を瑞々しく演じきった。結果として『トンイ』は、彼女の代表作となり、韓国だけでなくアジア各国でも人気を博した。
『ホジュン~宮廷医官への道~』『宮廷女官 チャングムの誓い』『イ・サン』『トンイ』。これら4本の時代劇は、イ・ビョンフン監督の比類なき情熱と緻密な演出によって作られ、今なお色褪せぬ名作として人々の心に残っている。巨匠の手による物語は、時を越えて感動を呼び覚まし、韓国時代劇の黄金時代を築き上げたのである。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
■【関連】『トンイ』の好感度をアップさせたハン・ヒョジュ。当時の評価は「天然美女」
前へ
次へ