Netflixで配信中の韓国JTBCドラマ『エスクワイア:弁護士を夢見る弁護士たち』は、単なる法廷ドラマの枠を超えた人間ドラマである。舞台は韓国屈指の大手法律事務所ユルリムである。
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ここで描かれるのは、勝者だけが生き残る冷酷な世界に飛び込み、自らの価値を証明しようと奮闘する若き弁護士たちの姿だ。
案件の重み、依頼人の人生、そして同僚との複雑な関係が絡み合い、彼らの心を削りもすれば、逆に成長の糧にもなる。視聴者は、理想と現実の狭間でもがきながら、それでも前に進む彼らの背中に、自分自身の葛藤や希望を重ねてしまうだろう。
物語の中心人物の1人が、キム・ガンミンが演じるチ・グクヒョンである。彼はユルリム訴訟チーム新人弁護士カン・ヒョミン(演者チョン・チェヨン)の大学時代の同期であり、同じ新人弁護士としてユルリムの訴訟チームに身を置いている。
共に夢を抱いて法曹の世界に飛び込んだ仲間だが、日々の業務は想像を超える厳しさを伴い、友情と競争心が微妙な均衡を保つ。
グクヒョンは、頭脳派でありながら感情を押し殺しがちな面を持ち、時に冷静な判断がチームを救う一方、周囲との摩擦を生むこともある。その立ち位置が、ドラマに複雑な人間模様をもたらしている。
演じるキム・ガンミンは、静かな存在感と柔軟な演技で注目を集める若手俳優だ。
『ゴールデンスプーン』ではユン・ソンジェ扮するイ・スンチョンをいじめるリーダー格パク・ジャングンを演じ、威圧感のある眼差しと鋭い間を駆使して視聴者に強烈な印象を残した。
青春ドラマ『トキメク君との未来図』では一転、ヌルジ高校建築学科の生徒チ・ホソンとして、友人を支える温かみのある青年像を描き出した。その振れ幅の広さは、ジャンルや役柄を問わず作品世界に溶け込む力を物語っている。
さらに、『To My Star』ではイタリアンレストランのシェフのハン・ジウとして繊細な表情芝居を披露。ファンタジー色の強い『九尾狐伝』では放送局の助演出ピョ・ジェファンを演じ、物語の背景を支える役どころで確かな存在感を発揮した。さらに、『ストーブリーグ』では新人王の野球選手イ・チャングォンを演じている。
こうして振り返ると、キム・ガンミンのキャリアは、主役の陰で物語の深みを生み出す重要な役回りを重ねながら、着実にステップアップしてきた道程である。
『エスクワイア:弁護士を夢見る弁護士たち』でのチ・グクヒョン役は、彼の演技力が正面から試される場であり、法廷という緊張感あふれる舞台でどのように人間味をにじませていくのかが見どころだ。
俳優として魅力的な演技を見せるキム・ガンミン。これから彼がどんなドラマに出演し、どんなキャラクターを演じるのかに注目したい。
文=大地 康
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