5月12日からNetflixで配信がスタートした『隠し味にはロマンス』は、大手食品企業を継ぐために小さな食堂を買収・合併するレシピハンターとなった男性と、韓国・全州で看板も出さないワンテーブル食堂を運営する頑固なシェフの女性が繰り広げるキッチン成長ロマンスだ。
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本作で、主演を務めるカン・ハヌルは、レシピハンターとなった食品会社ハンサン理事ハン・ボムを演じ、これまでとは一線を画す役柄に挑戦して話題を集めている。
カン・ハヌルが演じるハン・ボムは、大手食品会社を率いる財閥家の御曹司。しかし、彼は料理には無関心で、効率や利益ばかりを追い求める冷徹なビジネスマンだ。
そんな彼が、全州の片隅で看板も出さず、1人で料理を作り続ける頑固なシェフ、モ・ヨンジュ(演者コ・ミンシ)と出会う。
最初は彼女の料理哲学に戸惑いを覚えるボムだったが、やがて彼女の真摯な姿勢と温かな料理に心を動かされ、自らの生き方や価値観を見つめ直すようになる。
カン・ハヌルといえば、『椿の花咲く頃』で演じた真っ直ぐで誠実な警察官役が記憶に新しい。その後も『ミセン~未生~』『王女ピョンガン 月が浮かぶ川』『インサイダー』など話題作への出演が続き、感情表現の幅広さと繊細な内面描写で評価を高めてきた。
舞台俳優出身の彼は、長年にわたり積み重ねた演技力を武器に、現代劇、時代劇、さらにはアクションまで幅広いジャンルで活躍している。
優しさとユーモアを感じさせる一方で、静かな怒りや複雑な葛藤を繊細に表現できる俳優として、韓国演技界でも独自の存在感を放ってきた。
そんなカン・ハヌルが今回挑むハン・ボムは、彼のこれまでの代表作とは真逆ともいえるキャラクターだ。
人間関係に不器用で、自らの地位に安住していたボムを、カン・ハヌルは冷たさとプライドの裏にある孤独と空虚を丁寧に表現。とりわけ、ヨンジュとの関わりを通じて少しずつ変化していく彼の心の揺らぎは、観る者に静かな感動を与える。
『隠し味にはロマンス』は、人と人が料理を介して心を通わせ、変化していく姿を丁寧に描いた物語である。
カン・ハヌルの繊細で奥行きある演技が、ハン・ボムというキャラクターに人間味と温もりを与え、視聴者に新たな魅力を提示している。韓国演技界きっての実力派俳優が見せる新たな顔に、今後も注目が集まることは間違いない。
文=大地 康
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